十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2025年9月号

特集/個性いろいろ 十勝のワイン

Chai法律相談(201)「阿寒湖のマリモを川に放流しても良いですか?」

【質問】
 私は30年ほど前、阿寒湖畔の土産物店でマリモを購入しました。マリモには最適なミネラルを与えて日光浴を欠かさず、大切に育てています。しかし、近頃はマリモが育ち過ぎたため、自宅の浴槽はマリモに占領され、お風呂に入ることができません。断腸の思いで、マリモをコイカクシュサツナイ川の上二股付近に放流したいのですが、問題ないでしょうか。

【回答】
廃棄物処理法に違反する可能性があります。

 廃棄物処理法(以下単に「法」とします)にいう「廃棄物」とは、「ごみ…その他の汚物又は不要物」を指します(法2条1項)。質問を見ると、マリモがあるとお風呂に入れない、すなわち、邪魔(不要)だから放流したいのでしょうから、本件のマリモは、「不要物」にあたり、「廃棄物」に該当すると考えられます。 

 法16条は、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と規定します。放流と川に捨てることは同じ行為です。マリモを川に放流すると、法16条に違反する可能性があると考えられます。法16条に違反した場合について法25条では、「5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と規定しています。もちろん、空き缶やたばこの吸い殻をポイ捨てした場合にも同罰則が適用される可能性があります。マリモの放流は生態系への悪影響も懸念されます。最後まで面倒を見てあげてください。

今回の回答にご協力いただいたのは
[松野貴紀 弁護士]

事務所/本別ひまわり基金法律事務所
本別町南1丁目2-39 2F
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※質問・回答はChai編集室の責任でまとめています。

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※フリーマガジン「Chai」2025年9月号より。