十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2025年8月号

特集/夏の学びチャレンジ

夏の学びチャレンジ(4)「Chai的自由研究 調べてみよう!~さらべつ昆虫研究所」

北海道知事認定自然ガイドの資格を持つ斎藤さんは昆虫に限らず、植物や動物などの知識も豊富。個人向けの昆虫ガイド、管内の幼稚園や小学校で自然体験授業も行う

 「調べる」ことから始める自由研究は、新しい発見がいっぱい。十勝の施設や資料を活用して、自分だけの調査レポートをまとめよう。

身近にいる昆虫の生態を観察してみよう!
 さらべつ昆虫研究所では、昆虫展や昆虫ガイド、学校での環境学習など「昆虫」を教材に学びの機会を提供しています。所長の斎藤彦馬さんに、昆虫のあれこれを聞きました。

教えてくれた人
さらべつ昆虫研究所 所長 斎藤彦馬さん
「8月頃は、エゾエンマコオロギ、カンタンなどが見られます。鳴き声に注目してみて!」


 自宅で約60種類の昆虫や爬虫(はちゅう)類などを飼育するさらべつ昆虫研究所所長の斎藤彦馬さん。サラパーク(更別)を中心に、岡書(帯広)、士幌総合研修センター、ネイパル足寄といった管内の施設で月に1・2回展示会を開催し、昆虫の魅力を伝えている。

 昆虫を自由研究のテーマにする場合は、「好きな虫」を題材にすること。「でもどんな虫がいるのかわからない」という人は、まず家の周りを歩いて、どんな虫が生息しているのか知ることが大切だ。「見た目がかわいい」「鳴き声が特徴的」など選ぶ基準は何でもOK。

 テーマにする虫が決まったら生態を観察。飼う場合は、その昆虫が何を食べているのかを知っておくこと。実際に飼育し、観察してみると、虫の脱皮やフンをする様子、動き方の特徴などが見られるはず。細かく写真に撮り、記録してみて。「観察日記を書くときは、昆虫がどうやってエサを食べているのか、口元に注目してほしい」と斎藤さん。

 実際に散策に行く場合は、午前なら10時〜11時頃、午後は日没3時間前がお勧め。水辺の近くは多くの昆虫が生息するが危険も多い。親子で十分に安全を確保しながら昆虫採集を楽しもう。

★手作りの標本
立体標本

種類ごとに一匹ずつクリアボックスに入れる。いろいろな角度から昆虫を観察できる


ドイツ箱標本

長期保存のため、カビや虫の侵入を防ぐための標本箱。博物館などでの標本展示に使われている。標本には必ず「誰が・いつ・どこで採取したのか」を明記している


虫の解析中

顕微鏡を使用し細かく体の特徴を観察して、種類を特定する


★手軽にできる昆虫トラップ
ベイトトラップ

コップやペットボトルに誘引するエサを入れて誘い込む。入り口に返しがついていて、虫が一度入ると逃げられない。空を飛ぶ、匂いに集まる虫を捕まえる


ピットフォールトラップ

地面にコップをしかけ、虫を落とし込む。かかる虫は、主にオサムシやシデムシなど地表を徘徊する虫


〈注意点〉トラップはすべてきちんと回収すること

EVENT スズメバチの標本作り
8月頃開催予定
 スズメバチをテーマにした標本作り体験を実施。スズメバチの行動、生態、針の役割や刺されてしまった時の対処法なども紹介する。詳しい日時は研究所インスタグラム(hikomasaitou)または、サラパーク公式HPにて。

<さらべつ昆虫研究所>
※研究所内は一般公開していない

※フリーマガジン「Chai」2025年8月号より。
※写真の無断転用は禁じます。