十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2025年2月号

特集/笑顔になる台所

笑顔になる台所(6)「とかちの台所道具~ガラス工房 フンベ、創り舎」

夏の雨をイメージした〈なないろ水玉〉3,500円~。水玉模様が器の足になり、卓上に置いた時に安定するなど細部までこだわり抜く

 十勝在住の作家による、器やカトラリー。いつか手に入れたい、"メイドイン十勝"の逸品がそろいました。

ARTIST6 音更町 ガラス工房 フンベ
 丁寧に磨かれ、艶めくガラスの器。人里離れた農村にある工房で、勝野好則さんは日々ガラスと向き合っている。

 勝野さんが用いるのは「宙吹き」の技法。窯の中で溶けたガラスを竿に巻き取り、息を吹き込み成形していく。息遣い、力のかけ具合で風合いが変化するため、扱う作品はすべて一点ものだ。多彩な色ガラスや技法を掛け合わせ、北海道の風景や作物を表現する。

 「依頼があればいろんな作品に挑戦しています。経験を重ねても制作は今だに試行錯誤」と勝野さん。工房を構えて32年。まだまだ作品の幅を広げていく予定だ。

代表の勝野さん。息を上手にコントロールし、回しながら形を整えていく

約1,300℃の溶解炉内にあるガラスを作品に合わせて成形。少しの温度変化で割れることもあるため繊細に扱う


販売場所:ギャラリー、北海道ホテル(帯広)
音更町万年西1線60
Tel:0155・45・2042
営:11時~17時
休:月曜



奥から時計回りに〈白樺のかご〉、〈カトラリーケース〉、〈ワンハンドのかご〉、〈ピクニックかご〉。価格はイベント時に直接問い合わせを


ARTIST7 帯広市 創り舎(つくりしゃ)
 シンプルながら見ているだけでほっこりと温もりを感じる樹皮の小物。白樺やクルミ、山ブドウなど異なる素材を使い、暮らしになじむ生活雑貨を手掛けている。山や畑に生えた雑木も、小原康恵さんの手にかかればオシャレなかごに様変わりするから驚く。

 「自分で材料を採りに行き、作品を作る。それをいいなと思ってくれる人の手に渡ってくれたら。長く使うことで手になじみ、より作品の輝きが増す」と小原さん。節や穴、傷など樹皮によって異なる表情を見せる作品だからこそ、手に取ってお気に入りの一品を見つけて。

〈コーヒーキャニスター〉。樹皮を採取できるのは初夏の時期のみのため、限りある資源を大切に扱う

「この素材はこの編み方など型にはめたやり方ではなく、新しい組み合わせで制作したい」と小原さん。定期的に技法を学びに東京へ足を運ぶ


販売場所:イベント出店時の対面販売のみ。
Instagram:tsukurisya
※出店やワークショップの詳細はインスタグラムで確認を

※フリーマガジン「Chai」2025年2月号より。
※撮影/辰巳勲、清田千裕。写真の無断転用は禁じます。