十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2025年2月号

特集/笑顔になる台所

笑顔になる台所(5)「とかちの台所道具~十勝の木のうつわ、矢吹俊輔さん」

右上から時計周りに〈カフェオレボール 大 アズキナシ〉15,400円、〈同 小 エンジュ〉9,900円、〈お椀 タモ〉6,600円

 十勝在住の作家による、器やカトラリー。いつか手に入れたい、"メイドイン十勝"の逸品がそろいました。

ARTIST4 幕別町 十勝の木のうつわ
 手にしっくりとなじみ、温もりも感じられる食器やカトラリー。「十勝の木のうつわ」には、地元を中心とした道内の木々で作った、使い勝手の良い品がそろう。シンプルながら印象的な器を生み出しているのが、佐々木要さんと息子の允(まこと)さん。丸太ごと購入し、下処理から加工まで丁寧に手をかけて完成させる。ギャラリーで接客を務める要さんの妻・榮子さんは、「木の食器は衝撃に強く、修理して使えるのが長所。お客さまとは長い付き合いになります」と、ほほ笑む。約20種の木材から選び、自分好みの器をオーダーするのもお勧めだ。

アウトドアでも活躍する〈カップ カシワ〉11,000円、曲がった柄が個性的な〈スプーン エンジュ〉2,750円

〈プレート クリ〉24cm 6,600円は、使いやすいサイズで人気

「見た目だけでなく手触りや重さもポイント。使う人に合わせてアドバイスします」と榮子さん


販売場所:cafe&gallery nanakamado(ナナカマド・帯広)、北海道ホテル(帯広)

<cafe&gallery nanakamado>
幕別町札内春日町297-24
Tel:080・3260・0912
営:11時~16時
休:火~木曜(金・土・日・月曜営業)
webショップ



木目が生きる〈拭き漆(白)〉12,000円、なめし革のような〈石目地塗り(茶)〉、陶器のような〈石目地塗り(黒)各13,500円。石目地は粉状の乾漆でマットに仕上げる手法。木はすべてクルミだが塗り方で印象も手触りも別物


ARTIST5 帯広市 矢吹俊輔(やぶきしゅんすけ)さん
 漆の色や塗りのパターンは多彩で、試したいことがたくさんあります。優しい木の質感や形、木目を生かし、現代の食卓になじむものを作りたいですね。漆器は洗剤で洗えるし、軽く扱いやすいので長く愛用していただければ」。5年前から木の器作りにはまり、数カ月後には日本伝統の天然樹脂塗料・漆で塗装する漆器にたどり付いたという、木工作家の矢吹俊輔さん。作品の中心は皿やわんなど日常使いの器。道産木材を旋盤で削って木地を作り、多いもので10回以上漆を塗り重ね、3カ月以上かけて繊細に仕上げている。

漆は湿度を調整しながら、工程に合わせてしっかり乾かす。漆器に組み合わせるカトラリーも制作中

木目を生かす拭き漆(ふきうるし)の作業。木地に薄く色の漆を塗り、乾燥させ磨く作業を繰りかえす

矢吹さんは、多くの資料を見ながら使い勝手も形もいい器のデザインを考えるそう。フランスのアンティークを参考にすることも


販売場所:Pastoral(帯広)
※作品は購入後メンテナンスのオーダーも可能
Instagram:インスタグラム

※フリーマガジン「Chai」2025年2月号より。
※撮影/辰巳勲、清田千裕。写真の無断転用は禁じます。