十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2025年2月号

特集/笑顔になる台所

笑顔になる台所(4)「とかちの台所道具~陶の杜、順心窯、客家窯」

右上から時計回りに〈ヤギ小皿〉2,200円、〈ナマケモノ 高台付き小皿〉3,000円、〈お花 16cmプレート〉3,300円、〈ゾウ 掻き落とし20cmプレート〉3,800円

 十勝在住の作家による、器やカトラリー。いつか手に入れたい、"メイドイン十勝"の逸品がそろいました。

ARTIST1 幕別町 陶の杜(もり)
 陶の杜・大石政代さんが作る絵皿は、そこにあるだけで食卓が華やぐかわいらしさ。料理を食べ進めると現れる動物や植物のイラストに、自然と笑みがこぼれる。

 大石さんの器のトレードマークともいえるのが、模様が浮かび上がる独特な風合い。粘土を掘り出して作る版画のような技法「掻(か)き落とし」によって、絵に息を吹き込む。大石さんの次の挑戦は”色“。「象嵌(ぞうがん)の技術を用いた、多色の器も試作中です」と目を輝かせる。

 イラストのモチーフは、大石さんが愛する十勝の自然や、散歩中に出合った何気ない風景。「思いが形になる過程が楽しい。使う人の笑顔を思い浮かべて作っています」。器を手に取るたびに大石さんの優しい思いがじんわり、伝わる。

〈茶碗 クマ〉紫・青各3,500円。北海道の大自然がほのぼのとしたタッチで描かれている

大石さんの器にしばしば登場するリス

不定期で陶芸教室も行う大石さん。20代前半で陶芸と出合って以来、絵付きの器を作り続けている

細やかな掻き落としの作業。カップや茶碗には丈夫な瀬戸半磁器を、絵皿は白い信楽の土を使用する


販売場所:SLOW living(帯広)、TREE OF LIFE(帯広)
Instagram:touno.mori
※陶芸教室やイベント出店の情報はSNSで確認を



奥から時計周りに、〈手付片口鉢〉3,000円~、〈平鉢〉3,800円~、〈小鉢〉、〈茶碗〉各2,200円~。陶芸教室や毎年6月と11月に個展を開いている


ARTIST2 本別町 順心窯(じゅんしんがま)
 順心窯の青木紀子さんが作り出す作品は、茶わんや湯飲みなど暮らしにそっとなじむ日常の器。ナラや白樺など天然の木灰を釉薬に使用することで淡い色彩を作り、素朴でどこか温かみがある作品に仕上げる。細かい割れ模様が美しい「貫入(かんにゅう)」など長年培った技術で表現の幅を広げている。

1997年から活動を始め、慣れた手つきでろくろを回す

「長く大切に使ってもらえたらうれしい」と主宰の青木さん


販売場所:順心窯、道の駅ステラ★ほんべつ
本別町南2丁目14-20
Tel:0156・22・2165 ※見学したい場合は要連絡



漆黒のような紺色や緑がかった青まで、多彩なオンネトーブルーを釉薬で表現。冬は雪、秋は紅葉を映した水面の色に。手前〈小鉢〉2,600円、ほか〈茶わん〉各3,200円


ARTIST3 帯広市 客家窯(はっかがま)
 清水知秀さんは商社マンから陶芸の世界に飛び込み35年。1992年に足寄で開窯し、2000年より帯広で作陶を続けている。

 茶わんや小鉢、酒器などの作品で表現し続けているのは、四季折々に美しく変化する、オンネトーの色彩。毎日器を使いながら、神秘的な湖に思いをはせたい。

場を和ませる、柔らかなつぼみの形の〈花瓶〉14,800円

大鉢を制作中

清水さんは39歳で江別の北海道工業試験場野幌窯業分場で技術を学び、その後、信楽など全国で技術を研究した。毎年企画展も行う


販売場所:工房兼「ギャラリー夢庵」
帯広市西5条南11丁目26-3
Tel:090・8272・7915
※営業時間・定休日不定(訪問時は電話で確認を)

※フリーマガジン「Chai」2025年2月号より。
※撮影/辰巳勲、清田千裕。写真の無断転用は禁じます。