Chai法律相談(159)「債務を負担しない」という遺産分割協議の注意点は?
【質問】
個人事業主であった父が死去しました。相続人は長男と次男の2名。長男が事業を引き継ぐので、父が事業のために金融機関から借り入れた1000万円の債務も含め、すべての遺産を長男が相続します。長男は事業収入の中から債務の返済を計画しています。相続手続きでは債務を含むすべての遺産を長男が相続し、次男は債務を負担しないとする遺産分割協議書を作成予定です。注意点は?
【回答】
債務を確実に免れるためには相続放棄をすることが必要です。
過去の判例では、金銭債務は相続により当然に各相続人に法定相続分で承継され、遺産分割の対象にならないとされています。従って、長男と次男が遺産分割協議書において相続債務についてどのように定めようと、金融機関が承諾しない限り、その内容は金融機関に対抗できません。つまり、金融機関との関係では、次男は法定相続分の割合(2分の1)で計算した500万円の債務を相続することになります。
長男が次男に代わり金融機関に返済している間は特に問題となりませんが、返済が滞っ
た場合、次男は金融機関から借入金の返済を求められます。
次男が債務を確実に免れるためには、相続放棄の手続きが必要です。相続放棄により、次男は相続のときにさかのぼって相続人ではなくなるので、債務を承継することはありません。
相続放棄をするには、相続開始を知ったときから3カ月以内に家庭裁判所に対し相続放
棄の手続きをしなければなりません。遺産を相続しない場合も、弁護士などの専門家に相
談することをお勧めします。
今回の回答にご協力いただいたのは
[中野尊仁 弁護士]
事務所/帯広市西5条南24丁目7-1 太陽総合法律事務所
Tel:0155・22・0033
個人事業主であった父が死去しました。相続人は長男と次男の2名。長男が事業を引き継ぐので、父が事業のために金融機関から借り入れた1000万円の債務も含め、すべての遺産を長男が相続します。長男は事業収入の中から債務の返済を計画しています。相続手続きでは債務を含むすべての遺産を長男が相続し、次男は債務を負担しないとする遺産分割協議書を作成予定です。注意点は?
【回答】
債務を確実に免れるためには相続放棄をすることが必要です。
過去の判例では、金銭債務は相続により当然に各相続人に法定相続分で承継され、遺産分割の対象にならないとされています。従って、長男と次男が遺産分割協議書において相続債務についてどのように定めようと、金融機関が承諾しない限り、その内容は金融機関に対抗できません。つまり、金融機関との関係では、次男は法定相続分の割合(2分の1)で計算した500万円の債務を相続することになります。
長男が次男に代わり金融機関に返済している間は特に問題となりませんが、返済が滞っ
た場合、次男は金融機関から借入金の返済を求められます。
次男が債務を確実に免れるためには、相続放棄の手続きが必要です。相続放棄により、次男は相続のときにさかのぼって相続人ではなくなるので、債務を承継することはありません。
相続放棄をするには、相続開始を知ったときから3カ月以内に家庭裁判所に対し相続放
棄の手続きをしなければなりません。遺産を相続しない場合も、弁護士などの専門家に相
談することをお勧めします。
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※質問・回答はChai編集部の責任でまとめています。
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十勝管内の弁護士が法的トラブルについて答えてくれるChaiの連載です。
※フリーマガジン「Chai」2022年3月号より。