十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

Chai法律相談(169)「相続未了物件の固定資産税について」

【質問】 
 私の父親は、土地と家屋を所有していましたが、令和2年2月に亡くなりました。遺産分割や相続登記、相続放棄をしないまま、この土地と家屋は母親と兄が住み続け、私は遠方に暮らしています。しかし、令和4年度の固定資産税を納付するよう連絡がありました。不動産を使用していない私が納付しなければならないのでしょうか。

【回答】
相続未了物件は、使用の有無に関わらず、法定相続人が固定資産税を納税しなければ
ならない場合があります。

 固定資産税の納税義務者は、既登記不動産は登記簿上の所有者、未登記不動産は土地または家屋補充課税台帳に所有者と登録されている人です。

 本件では、令和4年度の固定資産税における賦課期日(毎年度1月1日)の前に所有者の父親が既に亡くなっています。このような場合は「現に所有している者」が所有者として扱われます(地方税法343条1項、2項)。現に所有している者とは、賦課期日において所有権が現に帰属している人をいいます。遺産分割協議が未了の間は、亡くなった所有者の法定相続人全員が当該不動産の共有者です(民法882条、898条、90条)。固定資産の共有者は、固定資産税の連帯納付義務を負うため(地方税法10条の2第1項)、固定資産税が納付されていなければ、当該不動産を使用していない法定相続人であっても、全額の納付を求められる事態が起こる場合があります。

 今後相続登記が義務化されますが、補充課税台帳の名義変更を含め、相続手続を放置すると、思わぬ責任を負うことがあります。早めに対応しましょう。

今回の回答にご協力いただいたのは
[渡辺紘生 弁護士]

事務所/帯広市西3条南10-15 雨宮ビル2階
Tel:0155・66・8650


※質問・回答はChai編集部の責任でまとめています。

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※フリーマガジン「Chai」2023年1月号より。