十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

Chai法律相談(158)「配偶者に不貞された場合の慰謝料に違いはありますか」

【質問】
 夫が不貞行為をしていることがわかりました。夫と離婚協議の上、離婚することになったのですが、夫に慰謝料を請求するのはもちろん、不貞行為の相手の女性も許せないので、女性にも慰謝料請求をしたいと考えています。夫に対する慰謝料請求と不貞行為の相手の女性に対する慰謝料請求とで、何か違う点はあるのですか。

【回答】
配偶者に対する請求と不貞行為の相手に対する請求は違います。

 不貞行為は、配偶者(今回は夫)と相手(今回は別の女性)との共同不法行為であるとされ、不貞行為をされた配偶者は、配偶者と相手の両方に慰謝料を請求することができます。

 不貞行為による慰謝料請求は、不貞行為自体に対する慰謝料(不貞慰謝料)と不貞行為によって離婚したことに対する慰謝料(離婚慰謝料)に区別されます。不貞行為によって離婚した場合の方が、より精神的苦痛が大きいと考えられ、不貞慰謝料より離婚慰謝料の方が金額が高いと考えられています。そして、2019(平成31)年の最高裁判決によれば、配偶者の不貞行為によって夫婦が離婚した場合、配偶者には離婚慰謝料を請求できるが、不貞行為の相手には「特別な事情」がない限り不貞慰謝料しか請求できず、離婚慰謝料は請求できないと判断されました。

 この特別の事情とは、夫婦の一方と不貞行為に及ぶだけではなく、その夫婦を離婚させることを意図して、その婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして、当該夫婦を離婚のやむなきに至らせたものと評価すべき特段の事情があるとき、とされています。

今回の回答にご協力いただいたのは
[辻和義 弁護士]

事務所/音更町木野大通東5丁目2-13(2F)
Tel:0155・67・5221


※質問・回答はChai編集部の責任でまとめています。

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※フリーマガジン「Chai」2022年2月号より。