2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

ギュウ~っと十勝(3)「カントリーファーマーズ藤田牧場(鹿追町)」

大和さんに歩み寄ってくる人懐こい牛たち。動物福祉の考えに基づいて環境を整えるのはもちろん、厳選した餌を与えて健康的に育てている

酪農教育ファームを訪ねて
牧場で過ごす時間が教えてくれる命と食のつながり

 自由に歩き回れる「フリーストール牛舎」で、のびのびと暮らす藤田牧場の牛たち。そのせいかその表情は優しく、穏やかに感じられる。今年4月に完成した藤田牧場の牛舎は、餌やりや搾乳といった作業が機械化され、人にも牛にも優しい環境が整う。それでも四代目の藤田大和さん(27)は、「今後も人の手を大切に、牛と関わっていきたい」と力強く話す。

約80頭の牛たちは自由に移動し、好きな寝床でのんびりと過ごす。牧場体験ではフリーストール牛舎の様子を見学できる

乳を搾る専用施設「搾乳パーラー室」。搾乳時に体調や発情期のチェックも行われ、そのデータはパソコンへ送られる


 藤田家は1913(大正2)年に初代が入植して以来、代々農業や酪農業を営んできた。現代表で三代目の藤田均さん(63)が新たに取り入れたのは、教育ファームとしての試み。観光客を迎え入れ、乳しぼりなどの酪農体験をはじめ、講義も行う。思いを受け継ぐ大和さんは、「食と命の大切さを学ぶ場を提供することで、生産者と消費者をつなげられれば」と、笑顔を見せる。

 酪農家の1日をより身近に感じられるのが、コテージでの宿泊や牧場内でのキャンプ。満天の星が瞬く夜や動物たちの鳴き声で目覚める朝は、忘れられない経験になるはずだ。藤田牧場で見るもの、触れるものすべてが、命のきらめきに通じている。

<カントリ-ファーマーズ 藤田牧場>
鹿追町瓜幕西28-26-5 
Tel:0156・67・2316 
https://www.fujitafarm.com/

※牧場体験(4月下旬~11月上旬)1,728円~、コテージ宿泊(通年営業)小学生以上1泊6,480円、スローキャンプ(5月~10月)小学生以上1泊利用料1,700円。事前の予約が必要、詳細は問い合わせを

約50haの広大な牧場。コテージでの宿泊のほか、スノーピーク社とコラボレーションした1日3組限定の「スローキャンプ」もできる

「動物の世話や接客が好き」と話す大和さん。客を楽しませることを心がけ、牧場の案内役を務めている


※フリーマガジン「Chai」2018年9月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。