もしもの備え(5)「〔ハイブリッド車〕〔PHV〕〔電気自動車〕 停電時には家庭の非常用電源に」
1500Wまで使える100Vのアクセサリーコンセント取り付けも可能
ハイブリッド車の中には、車内に100Vのコンセントを標準で装備していたり、メーカーオプションで取り付けられる車もある。出力は車種により違うが、トヨタのハイブリッド車は、合計1500Wまで使える「アクセサリーコンセント」が用意されている(一部車種を除く)。テレビやパソコン、洗濯機など最大消費電力を確認しながら使用すれば、動かすことが可能だ。帯広トヨペットの社員は、停電時に「アルファードハイブリッド」で、家庭の一部の電気を確保した。全体の消費電力に注意しながら、給湯器でお風呂を沸かし、冷蔵庫を接続。洗濯機を回したり、炊飯器でご飯を炊いたりして、1日半ほどあった停電を乗り切った。
「プリウスPHV」は、蓄電容量が大きい〝ハイブリッド〞だ。電気の残量が減るとエンジンがかかって発電する。充電の差し込み口に「ヴィークルパワーコネクター」を取り付ければ、外部給電用コンセントになる。トヨタカローラ帯広本店の社員も、プリウスPHVから延長コードで給湯器や冷蔵庫、照明につないで使用した。1日程度であればバッテリーに蓄えた電気だけで十分賄えたという。
◆PRIUS PHV
プリウスPHVは、車内に100Vのアクセサリーコンセントを装備でき、その他にも充電の差し込み口に「ヴィークルパワーコネクター」(オレンジ色のパーツ)を取り付けても100Vを接続できる
トヨタのハイブリッド車(一部車種を除く)には、合計1500Wまで使える100Vのアクセサリーコンセントを付けられる(一部車種・グレードは標準装備)
V2H機器の設置で電気自動車から住宅に電気供給も
車に蓄えた電気を家に供給する仕組みを「V2H」と言い、三菱のPHEVや日産のEVは、V2H機器を家に設置すると、住宅に電気を送ることができる。三菱のPHEV「アウトランダー」は、バッテリーが満充電であれば、一晩は十分に電気を使えるという。エンジンを回せば発電(V2H機器接続時はエンジンの発電はできない)して充電できるので、燃料が満タンの場合は、数日間は家の非常用電源とすることが可能だ。
日産の電気自動車「リーフ」や「e―NV200」もV2H機器を設置すると非常時の電源となる。バッテリー容量が40の新型リーフは、満充電の場合、一般家庭で2、3 日は電気を使える。
アウトランダーやe―NV200も、合計1500Wまで使用できる100Vのコンセントが付いているので、延長コードをつなげて家電を使用可能となる。
V2H機器は、太陽光発電設備とつなげるタイプがある。停電時、日中に発電した電気を家電など家で使いながら、余った電気を車のバッテリーに充電し、夜間は車から電気を供給するといった使い方ができる。
◆OUTLANDER PHEV
帯広三菱自動車は、イベントなどでアウトランダーのコンセントに、電子レンジなどをつないで調理するデモンストレーションを行っている。同社によると「9月の停電時に会社のパソコンや電話の電源として使用したアウトランダーのオーナーもいました」という
◆LEAF
V2H機器(写真右側のボックス)を設置すると、普段はリーフに充電するが、停電時は車から住宅に電気を供給できる。アウトランダーも同様に電気を送ることができる
ハイブリット、PHV、PHEVとは?
ハイブリッド車は、エンジンとモーターを搭載し、それぞれ単独で走行したり、時には両方を使用して走行する。電気が少なくなるとエンジンの動力で発電して充電する。PHV・PHEVは、ハイブリッド車よりもバッテリー容量が多く、外部の設備から充電もできる。モーターで走行し、電気が少なくなるとエンジンを回して発電し充電する。電気自動車に近いハイブリット車のイメージだ。
※フリーマガジン「Chai」2018年12月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。
もしもの備え
災害は忘れたころにやってきます。普段からの備蓄や、身近なものでできる防災グッズ、非常電源にもなるハイブリッド車や電気自動車など、「もしもの備え」について考えます。