十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

Chai法律相談(145)「私が先に逝った後、妻に住む場所と生活資金を残してあげたい」

【質問】私が先に逝った後、妻に住む場所と生活資金を残してあげたい。
 私には財産として、既にローンを払い終わり妻と2人で生活している自宅と預貯金が若干あります。また家族として、前妻との間に子1人と、後妻である現在の妻がいますが、その子と現在の妻との交流はほとんどありません。仮に私が先に逝った場合、子と妻が相続をめぐって争いとなり、妻が引き続き自宅に住み続けていけるのか、十分な老後の生活資金を残してあげられるのか心配です。

【回答】配偶者居住権を認める旨の遺言を作成しましょう。
 妻が自宅を相続してしまうと、それだけで相当価値のある財産を取得したこととなり、預貯金に対して十分な相続ができず、老後の生活資金に困ることが想定されます。

 そこで平成30年の改正で新たに認められた配偶者居住権を妻に認める旨の遺言を残し
ておけば、自宅については、将来のことを考えて子が相続により所有権を取得したとしても、妻は生涯無償で自宅を使用して居住することができます。この場合、自宅の所有権を取得するのではなく賃借権類似の権利を取得するのみなので、預貯金について十分な相続ができないという事態を回避できます。

 また、自宅を妻に贈与するものの、その価値を遺産に加算しない「持戻し免除の意思表示」により、残った預貯金のみを子と2人で相続させる方法もあります。今回の改正で、夫婦の婚姻期間が20年以上にわたる場合で、居住不動産を夫婦の一方が他方に贈与する場合には、持戻し免除の意思表示が推定され、遺言等で意思表示を明示していなくても救済される扱いとなりました。

今回の回答にご協力いただいたのは
[武部雅充 弁護士]

事務所/帯広市東7条南9丁目16
Tel:0155・20・3233


※質問・回答はChai編集部の責任でまとめています。

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※フリーマガジン「Chai」2021年1月号より。