Chai法律相談(143)「咳や発熱のある従業員を休業させる場合の給料は?」
【質問】
咳や発熱のある従業員を休業させる場合の給料は?
先週首都圏を旅行してきた従業員に、せきや発熱の症状が表れました。新型コロナウイルスに感染しているかどうかは分からず、本人は大丈夫なので出勤したいと言っています。他の従業員の安全を考え、念のため帰宅させてしばらく自宅で待機してもらいたいのですが、その場合、給料などを支払う必要があるのでしょうか?
【回答】
自宅待機を命じられるが、休業手当などの支払いが必要
使用者には従業員の健康や生命などを守る安全配慮義務があります。その従業員が新型コロナウイルスに感染している可能性があり、他の従業員に感染させる危険性があるのであれば、そのまま放置しておくことはできません。その場合には業務命令として、その従業員の就業を禁止して帰宅や自宅待機を命じることが可能です。
ただしその際には、会社に落ち度があるわけではないものの天災のような不可抗力とまでは言えないので、「使用者の責に帰すべき事由による休業」として、少なくとも60%以上の休業手当を支払う必要があります。
なお、その従業員の感染が確認された場合には、雇用契約の本旨に従った労務提供がで
きない状態と考えられるので、「労働者の責に帰すべき事由による休業」として、給与や休業手当を支払わないことが可能です。もっとも、安易に給与の支払いを止めるのはトラブルのもとです。労使がよく話し合って協力し、労働者が安心して休暇を取得できる制度を整えることが重要です。
今回の回答にご協力いただいたのは
[阪口剛 弁護士]
事務所/帯広市西2条南11丁目12(天光堂ビル3F)
Tel:0155・67・5600
咳や発熱のある従業員を休業させる場合の給料は?
先週首都圏を旅行してきた従業員に、せきや発熱の症状が表れました。新型コロナウイルスに感染しているかどうかは分からず、本人は大丈夫なので出勤したいと言っています。他の従業員の安全を考え、念のため帰宅させてしばらく自宅で待機してもらいたいのですが、その場合、給料などを支払う必要があるのでしょうか?
【回答】
自宅待機を命じられるが、休業手当などの支払いが必要
使用者には従業員の健康や生命などを守る安全配慮義務があります。その従業員が新型コロナウイルスに感染している可能性があり、他の従業員に感染させる危険性があるのであれば、そのまま放置しておくことはできません。その場合には業務命令として、その従業員の就業を禁止して帰宅や自宅待機を命じることが可能です。
ただしその際には、会社に落ち度があるわけではないものの天災のような不可抗力とまでは言えないので、「使用者の責に帰すべき事由による休業」として、少なくとも60%以上の休業手当を支払う必要があります。
なお、その従業員の感染が確認された場合には、雇用契約の本旨に従った労務提供がで
きない状態と考えられるので、「労働者の責に帰すべき事由による休業」として、給与や休業手当を支払わないことが可能です。もっとも、安易に給与の支払いを止めるのはトラブルのもとです。労使がよく話し合って協力し、労働者が安心して休暇を取得できる制度を整えることが重要です。
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十勝管内の弁護士が法的トラブルについて答えてくれるChaiの連載です。
※フリーマガジン「Chai」2020年11月号より。