十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

そばのおいしい季節です(3)「十勝のそば図鑑~鹿追町 ぼたんそば 西上経営組合、めん処 しかめん、そば かとう」

土のさまざまな養分を吸い取って成長するそばは輪作に適しており、「畑のクリーニング屋」ともいわれる

 長い歴史があり、日本の食文化に欠かせないそば。十勝は国内でも有数のそばの産地です。各地域で作られているそばの特徴を知った後は、お店でその味を楽しんでみませんか。

◆鹿追町 ぼたんそば

1時間で3~3.5kgのそばを製粉。そばは化学肥料や農薬を使用せずに育てている


古くから伝わるそばの味
 420haという広大な土地で、50年間農業を続けている西上経営組合。同組合では町の名産「ぼたんそば」を栽培している。そばの栽培を担当する竹俣広幸さんは「山麓沿いで水はけがいい鹿追は、そば作りに適した土地」と、太鼓判を押す。約100年前から道内で栽培されてきた古来種で、強い甘みや香りは全国のそば通に知られる。

 ぼたんそばは道内で主流のそば・キタワセより粒が小さく、高く成長するため風で倒れやすい。少ない収穫量や栽培の難しさを理由に手掛ける農家が減る中、同組合は歴史ある品種にこだわり続けている。

「幻のそば」ともいわれるぼたんそば。注文を受けてからひいたそば粉は、日本全国へ発送される

〈石臼挽き そば粉〉400g 540円。道の駅しかおい、とかちむら(帯広)、オンラインショップなどで手に入る

8月の取材時に撮影したそばの実。次第に茶色から黒へと変化していく

同組合でそばの栽培を担当する竹俣さん


西上経営組合 
鹿追町上幌内4線北2-1 
Tel:0156・66・3197 



地元産そば粉を使う鹿追町の店

地元産のごぼうを使用した〈ごぼう天そば〉1,000円 


◆めん処 しかめん
 巨大なかき揚げを載せた〈ごほう天そば〉は、インパクト大。コシが強く風味豊かなそばといただけば、男性でも満腹になるボリュームだ。

 コロナ禍に閉店したものの、2年前から週末限定でオープン。そば粉をはじめ、町内にある北養鶏所の卵、浅野青果の野菜などを使用し、鹿追らしい一杯を提供する。

そばが無くなれば、早めに閉店することも。事前に電話で確認を

代表の相澤政則さん。建設会社の代表も務める“二刀流”


鹿追町西町3丁目9-9 
Tel:0156・67・7308
営:11時~15時(そばがなくなり次第終了) 
休:月~金曜(土・日曜営業)



天丼が付く〈天丼セット〉1,300円。もりそばかかけそばが選べる


◆そば かとう
 町内の製麺工場で経験を積んだ加藤政利さんが、手打ちのそばを提供。季節や日によって変わるそばの状態を見極め、うま味を引き出している。つゆには利尻昆布や厚削りした2種のカツオ節で取っただしを使い、キレのある味わいに仕上げた。

 11月ごろには期間限定で、〈牡蠣(かき)そば〉も登場。

昨年4月に開店。国道274号に面しており、そば好きの間で評判が広まる

にこやかに迎えてくれる店主の加藤さん


鹿追町南町2丁目6-1 
Tel:0156・67・7270
営:11時~15時、17時~20時(そばがなくなり次第終了、水曜は夜の部休み)
休:木曜

※フリーマガジン「Chai」2024年10月号より。
※撮影/辻博希、清田千裕。写真の無断転用は禁じます。