十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

そばのおいしい季節です(1)「十勝のそば図鑑~新得町新得そば 新得町農業協同組合、そば処せきぐち」

 長い歴史があり、日本の食文化に欠かせないそば。十勝は国内でも有数のそばの産地です。各地域で作られているそばの特徴を知った後は、お店でその味を楽しんでみませんか。

◆新得町 新得そば

写真はレストラン玄穣のぼたんそば。自家栽培・自家製粉し、毎朝丁寧に手打ちする


全国で高い評価を受ける自信の品質
 1899(明治32)年ごろの開拓当初から栽培が行われていた「新得そば」。新得の山間部かつ丘陵地が多い地形や自然と水に恵まれた環境は、そばが育つのに最適な環境だったという。また、当時冷害や凶作が多く発生する中、ある程度の収穫量が見込めるため、開墾が遅れた時の大事な食料として位置づけられていた。1974(昭和49)年には製粉・製麺を一貫して行う「新得物産」が設立され、新得そばの安定供給が可能になった。

 「新得そば」は、現在「ぼたんそば」と「レラノカオリ」の2品種が出荷の大半を占める。それぞれ収穫時期が異なり、8月下旬〜9月に収穫する「レラノカオリ」は粒が大きく、歯ごたえがある。一方、9月中旬〜下旬に収穫する「ぼたんそば」は甘みがあり、古くから人々に親しまれている。

町内の生産農家が「全国そば生産優良経営表彰式」の最高位である「農林水産大臣賞」を4度受賞

満開を迎えたそばの花。国道38号沿いに広がるそば畑は約1.5kmにわたり「そばロード」として名をはせる。見ごろは7月中旬~8月中旬

9月上旬の収穫の様子。6月上旬に種をまき、8月下旬~9月下旬が収穫の最盛期

常務理事 五十嵐良和さん


新得町農業協同組合 
新得町1条南3丁目1
Tel:0156・64・5021



毎年大盛況!新そば祭り
 「新そば祭り」の前身は、2001(平成13)年、石勝線開通20周年記念式典後に行われた「新得駅まつり」。祭りのイベントの一つとしてうちたてのそばが振る舞われた。以降、新そばを味わってもらうとともに、そばの名産地として広く周知させようと、翌年「第1回しんとく新そば祭り」を開催。今年で21回目を迎える。

 今年は、町内のそば店や愛好家を合わせて7団体が出店。とれたて、ひきたて、うちたて、ゆでたての「4たてそば」を楽しめる。「新得そばといっても店ごとに特徴が全然違う。シェアしながら食べ比べて欲しい」と観光振興係の本田さん。この秋は新得で存分にそばを堪能しよう!


<開催要項>
9月29日(日)10時~13時30分
場:新得町保健福祉センター「なごみ」前駐車場(新得町3条南3丁目5)
問:新得町役場産業課観光振興係
Tel:0156・64・0522

新得町役場 産業課観光振興係 係長 本田浩平さん




地元産そば粉を使う新得町のお店

手前から〈豚肉ごぼうそば〉1,150円、〈天ぷらそば定食〉1,450円


◆そば処 せきぐち
 新得駅を出てすぐ、重厚な家紋が目を引くせきぐち。コシが強く、かめばかむほどに甘みが増す太麺が特徴。そばの味わいを消さないように、そばつゆは薄口で優しい口当たりだ。一方、つけ麺の〈豚肉ごぼうそば〉は肉の脂との相性を考え濃い口のそばつゆにするなど店主のこだわりが光る。

新得駅構内には、立ち食いそばも営業

5代目の関口龍弥さん


新得町本通北1丁目11 
Tel:0156・64・5450
営:11時~17時(そばがなくなり次第終了) 
休:水曜、第3火曜

※フリーマガジン「Chai」2024年10月号より。
※撮影/辰巳勲。写真の無断転用は禁じます。