十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

どうぶつに愛たくて(2)「おびひろ動物園に行こう~地域の声から生まれた動物園 ここにある幸せ、未来に向けて」

1963年7月13日、開園当日の様子。扉が開くのを心待ちにする市民が大勢集まった

 帯広・十勝で暮らす人には当たり前の存在ですが、動物園がある町は、道内は札幌と旭川、釧路のみ。開園のきっかけや今後の取り組みについて、おびひろ動物園園長の柚原和敏さんに聞きました。

園長の柚原和敏さん


 ―開園はいつですか。なぜ帯広に?
 札幌市円山動物園に次いで、1963(昭和38)年に開園しました。この頃円山動物園の協力で、帯広では移動動物園が行われて大変な盛り上がりを見せました。次第に「帯広に動物園を」という機運が高まり、60(昭和35)年には「帯広市動物園建設期成会」が発足しています。開園時には約20種80点を展示し、ピーク時の73(昭和48)年には約24万人が来園しました。

 ―現在の様子と、その役割は。
 2021年3月末には、65種323点を展示しています。レクリエーション、教育、調査研究、自然保護が動物園の役割です。さらに10年の間で、動物園の魅力アップに向けて取り組んでいます。また、シンボルだったアジアゾウのナナが昨年亡くなったことも、園の方向性を考える機会になっています。

夏期開園前に行われる清掃奉仕活動の様子(2019年4月6日付、十勝毎日新聞より。昨年と今年は中止)。毎年、募金や餌の寄付も多く、動物園を愛する市民の思いは変わらない


 ―力を入れる具体的な取り組みは。
 魅力アップの方針は5本の柱があり、中でも寒冷地や地域の野生動物の展示に力を入れていきます。もともと寒冷地の動物園として歩み、手探りで挑戦してきた経緯があります。歴史や文化を交え、十勝らしい家畜の展示も目指します。また今年度は、百年記念館や児童会館と一緒にアイヌ文化と触れ合える場を作る予定です。動物園では北海道由来の動物と、アイヌとの関わりを紹介します。

 ―課題は何でしょう。
 施設の老朽化が進んで新たな動物を迎える器が伴わず、また手に入りにくい状況です。この方針で少しずつ解決に向けて取り組みます。

 ―動物園との関わり方を 教えてください。
 公園もあって立地も良いです。かしこまらず、ぜひ気軽に来てください。その中で興味・関心がひとつでも見つかるとうれしい。より親しみやすい園にしていきたいと思います。

取材・撮影協力/おびひろ動物園
帯広市緑ケ丘2
Tel:0155・24・2439
営:9時~16時30分
(10月1日からは9時30分~16時)
開園期間:4月29日~11月3日 ※冬期開園あり

※フリーマガジン「Chai」2021年6月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。