２０２１年１月１日午前７時。南極で迎えた新年は、私の淡い期待とは裏腹に痛みとともに始まりました。「ゴー」と低い音が鳴り響く廊下を歩き、向かったのは公室。誰かいるだろうとのぞき込みましたが、そこに人影はなく静まり返っていました。唯一、公室の壁に飾られた紅白幕と入り口の装飾、そしてかすかに残るお酒の香りが新年の雰囲気を生み出していました。昨夜は遅くまで新年を祝っていたのだろうと思い、医療隊員の部...