カフェで過ごす。(1)「コーヒーと共に。十勝のカフェ文化」
法律上の「飲食店営業」「喫茶店営業」の許可区分はさておき、十勝でも1950年代ころから、“カフェ文化”が芽生えた。帯広喫茶連合会によると、帯広に初めて喫茶店ができたのは51(昭和26)年。高度経済成長期には、市内中心部だけでも40店ほどが点在していた。
昼夜問わずにぎわい「回帰路」
「COFFE PUB 回帰郎」が開店した77年は、第一次コーヒーブームの最中。店主の鈴木忠さんは、「店を閉める間がないほど忙しくて」と当時を振り返る。娯楽が少ない時代にテーブルゲームが人気を博し、店で朝を迎える人も。仕事帰りのスナックの従業員らも立ち寄り、夜にも客入りのピークがあった。
中でもサイフォンで淹れるコーヒーのファンは多く、今でも店の一角には常連客の“マイカップ”コーナーがあるほど。「サイフォンのよさは客の好みを自由に出せること。顔を見て渋みなどを調整するんだよ」。そう話す鈴木さんとの会話が、何より楽しい。
<COFFEE PUB 回帰路>
帯広市西11条南13丁目4-7
Tel:0155・25・5363
営:9時~20時
休:なし
十勝の文化育む「Wine」
59年、西2南8で開店した「画廊喫茶ウィーン」(現在は帯広市民文化ホール内)は、市内で2番目に古い喫茶店だ。とりわけ「画廊喫茶」として絵画やクラシック音楽を大切にし、文化人が好んで足を運んだ。帯広ゆかりの画家・寺島春雄さんや鹿追の画家・神田日勝さん…。店主・千田慶子さんの口から出る名は、十勝の文化の礎を築いた重鎮ばかりである。
ネットも携帯もない時代、店はコーヒー片手に文化人らの情報交換と議論の場だった。「カウンターは私の学びの場でした」と目を細める千田さん。十勝の文化はここで醸造されたと言っても過言ではない。
店には、常連が手作りした記念誌などが残る。コーヒーと共に過ごす時間がどれほど愛しく、人生に寄り添うものだったのだろう―。
<喫茶 Wien(ウィーン)>
帯広市西5条南11丁目48-2(帯広市民文化ホール内)
Tel:0155・25・6162
営:10時~18時(催事開催日は~21時30分)
休:火曜
※営・休は変更の場合あり
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今は書店やコンビニにもカフェがある時代。ともすれば、カフェは「個」の空間を楽しむことに偏りがちだが、当時はそこに、人の温もりや物語が色濃くあった。コーヒーはいわば“コミュニケーションツール”。そんな過ごし方も、悪くない。
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【特集】カフェで過ごす
ひとりでのんびり、女友達との気兼ねない時間―。カフェという空間は居心地がいい。こだわりの個性派カフェや、十勝でカフェ文化が広がった当時の様子などをご紹介。秋はおいしいコーヒーと一緒に、のんびり過ごしましょ。
※フリーマガジン「Chai」2019年10月号より。
※撮影/辰巳勲。写真の無断転用は禁じます。
カフェで過ごす。
ひとりでのんびり、女友達との気兼ねない時間―。カフェという空間は居心地がいい。こだわりの個性派カフェや、十勝でカフェ文化が広がった当時の様子などをご紹介。秋はおいしいコーヒーと一緒に、のんびり過ごしましょ。