2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

おびひろ老舗湯めぐり(2)「アサヒ湯」

小さな湯船でも、湯質の良さは抜群。湯上り後もしばらく体がぽかぽかと温かい

常連になりたくなる 人情あふれる温泉銭湯
 帯広の銭湯を語る上で、外せないのがアサヒ湯。1951(昭和26年)に創業して以来、地元の憩いの場として親しまれてきた。82(昭和57)年には温泉を掘削し、湯質の良さでも評判に。加温・加水・循環なしの天然モールを目当てに、全国の温泉ファンもを運ぶほどだ。

源泉かけ流しの湯は42℃前後に保たれている。しばらく入っていると肌にふつふつと気泡が付いてくる

「休憩所にテレビを置かず、会話を大切にする」「ドリンクは牛乳のみ」というのは、先代からのこだわり


 2007年、アサヒ湯が廃業の危機に陥った際に手を差し伸べたのが、市内で不動産業を営んでいた青葉商事の故町田好生社長。「地域に愛される温泉を無くしてはならない」と建物を買い取り、改装してリニューアルオープンにこぎ着けた。その熱い〝温泉愛〞は、現代表である娘の由美子さんへと受け継がれている。

リニューアル時に建物の9割を変えてしまったが、随所にレトロな雰囲気を感じる作りに

何十年もの間、足しげく通う常連も多く、「地元住民交流の場」としての役割も果たしている


 4人も入れば満員状態の浴槽に、男女ともカランとシャワーは各6個のみ。お世辞にも広いといえない浴室だが、清掃が行き届いていて清潔感がある。居心地が良い理由について由美子さんは、「マナーを守るお客さまに恵まれているから」と笑顔で話す。

 番台で交わされるあいさつや、洗い場での譲り合い。そんな昔ながらのやりとりに戸惑いつつも、その気恥ずかしさはあったかな気持ちに変わっていく。

アサヒ湯の番台に立つ由美子さん(写真左)とスタッフの瀬川里美さん。「あるお客さんがアサヒ湯を『やさしいお湯』だと言ってくれたことがあって。最高の褒め言葉ですね」

1991年に旧アサヒ湯がリニューアルした時の写真。まるで一般住宅のようなこぢんまりとしたたたずまい


帯広市東3条南14丁目19
Tel:0155・24・1933
営:13時~23時(日曜は6時~
10時の朝風呂あり)
休:元日のみ
料:大人440円、小学生140円、
幼児(未就学児)70円


※フリーマガジン「Chai」2018年5月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。