十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

いろいろアート(4)「造形美に挑戦 スプレーアーティスト越後谷勇樹さん」

「動物たちも喜んでくれるかな」。予想外の湿度や暑さに苦戦しながら色を重ねた

キャンバスは無限に まちなか彩る
 おびひろ動物園内のリスザル舎。横5・5mと3・8m、高さ各3mの壁2面が、少しずつ彩られていく。スプレーアートを手掛ける足寄町の越後谷勇樹さん(35)の手で、無機質なコンクリートの壁が、美しい森に変身していった。

 スプレーアートを始めたのは2009年から。あらゆる素材をキャンバスに描く手法に引かれ、長野県で壁画アートなどに取り組む山下勝彦氏に師事した。現在は十勝を中心に活動し、町中の塀や倉庫などさまざまな場所で作品を手掛ける。

どんな部屋になるの?ボクたち13匹もワクワク♪


 リスザル舎は、7月の約1週間で作業を進めた。使う外壁用塗料は5原色のみ。紙コップをパレットに色味や粘度を調整し、エアブラシとスプレーガンで迷いなく吹き付ける。リスザルがよく休むスペースは、ふんが目立たないよう茶色の木の幹に。ブランコや家もあしらい、遊び心いっぱいに仕上がった。

森や滝などの水辺が美しい完成画。木の幹(右)の上部のくぼみは、日ごろリスザルがよく休む場所。「木で遊んでいるように見えたら」と工夫がいっぱい


 同様のアートを十勝で本格的に取り組むのは、越後谷さんだけという。「体や車に描くこともできる。魅力を伝えて仲間を作り、将来は造形にも挑戦するアート集団を結成したい」。若きアーティストのチャレンジは、始まったばかりだ。

「スプレーアートに出会ったときはこれだ!と思った」と越後谷さん。面白さを語る顔は輝く

◆愛用のエアブラシ エアブラシで空気を圧縮して塗料を噴射する



問い合わせ:E-Designs. 足寄町北6条1丁目38 
Tel:090・3468・4764
HP:https://www.e-designs123.com/
※フリーマガジン「Chai」2018年9月号より。
※写真/辻博希。写真の無断転用は禁じます。