2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

いろいろアート(3)「世界を見据えたフリーポア・ラテアート 荒川和之さん」

真剣な表情でミルクを注ぐ荒川さん。道内では珍しいフリーのラテアーティストとして活躍している

心を込めて淹れた1杯から夢と幸せ広がる
 荒川和之さん(39)が静かに牛乳を注ぐと、マグカップの中にふわりとバラや鳥が浮かび上がった。飲めば消えてしまう一瞬のアートだが、最初に目にした時の感動はいつまでも心に残る。

 荒川さんが行うラテアートは、ピックなどの器具を使わない「フリーポア」という技法。エスプレッソにスチームした牛乳を注ぎながら絵を描くという、難易度の高い技だ。しかも荒川さんは、今年の4月に東京で開かれた「コーヒーフェスト ラテアート世界選手権大会」の予選を突破。世界中から集まった64人の選手と肩を並べ、腕を競った。「大会で受けた刺激を忘れず、完璧な1杯を目指して励みたい」と、荒川さんは表情を引き締める。

ラテアート選手権大会で予選を勝ち抜いた、荒川さんのラテアート。冬の十勝川に降り立つ白鳥をモチーフにした


 荒川さんがラテアートを始めたのは24歳の頃。先の大会でアジア人初の優勝者になった澤田洋史さんの技に感動したことが、きっかけだったという。広尾町の海運会社で勤務する傍ら、インターネットや本を参考にして独学で技術を磨いてきた。

 十勝管内のイベントなどで、ラテアートの楽しさを伝えている荒川さん。「帯広からラテアートの魅力を発信することで、世界レベルの技術が育つ場所になれば」と、抱負を語る。ちなみに見た目が美しいラテアートは、舌触りが滑らかでおいしさも兼ね備えているのだとか。酪農王国・十勝は、荒川さんが思い描く「ラテアートの町」にふさわしい。

Chaiのラテアートも作ってもらいました!


◆ハートを描いてみよう
 フリーポアを行う上で、すべての基本になるのがハート型。荒川さんにコツを教わりました。

1.まず初めにカップの底へ少量のエスプレッソを注ぐ。細かく泡立てた牛乳をピッチャーに入れ、傾けたカップへ注いでいく


2.最初はカップからピッチャーを離して、上方から牛乳を注ぐ。同時にカップの傾きを戻し、ピッチャーをゆすりながら行う


3.ピッチャーをカップに近づけることで模様が浮き上がる。最後は牛乳でできた円を切るように、手前から奥へ移動する


\完成しました!/


※荒川さんは飲食店や個人に向けて、ラテアートの講習を行っています。詳しくはかふぇ坩堝か、https://www.instagram.com/gachapin_ism/(インスタグラム)から問い合わせを

取材協力/かふぇ 坩堝 帯広市西16条南36丁目1-20 
Tel:0155・67・4262

※フリーマガジン「Chai」2018年9月号より。
※写真/辻博希。写真の無断転用は禁じます。