いろいろアート(2)「ギャラリー&喫茶を訪ねて」
<喫茶ギャラリー陶>
作家と鑑賞者を繋ぐ、30年の営み
味のある陶器や工芸品。地元作家らが手掛けた作品が空間に溶け込む。コーヒーのアロマと共に過ごす時間は、なんとぜいたくか。
作品鑑賞が好きなオーナーの丹後恵さんと、趣味で木工芸に取り組む夫の浩三さんが店を構えたのは1988年。「師魯久窯」(帯広)を主宰する坂田雅義さんの陶器を中心に展示し、次第にものづくりに関わる人が集うように。縁あった作家の展示会も開く。
アイスクリームなどメニューの多くは開店当初からの味だ。「質のよいものに触れてほしい。今後ものんびり営みたい」。空間や1杯のコーヒーにすらこの思いが宿るから、心地いいのだ。
大樹町萠和485-6
Tel:01558・6・3975
営:11時~17時
休:月・火曜
<GALLERY+SAKAN ミントカフェ>
自由な発想から生まれる、多彩な展示
開店した老舗喫茶店「大通茶館」を改装し、2016年11月に新たなスタートを切ったミントカフェ。オーナーの大久保怜子さんとマスターの真さん夫妻の人柄も手伝い、道内はもちろん全国からアーティストが集う。
カフェ内にあるガレリアオリザは、真さんいわく「工夫のしがいがある空間」。太陽光に近いLED照明で好みの雰囲気を演出できるほか、高い天井を利用した大規模な展示やワークショップなど、アイデア次第でさまざまな試みが可能に。アートを満喫した後は、自家焙煎のコーヒーや手作りの洋食をどうぞ。作品の余韻に浸りながら過ごす時間も、楽しみの一つだ。
帯広市大通南6丁目14-1
Tel:0155・67・4039
営:11時~20時
休:月曜 ※Wi-Fi完備
<大森ガーデン カフェGarden View>
ゆったり流れる時間、暮らしに癒やし
季節に合わせて移ろう花々に囲まれるカフェの2階がギャラリーになっている。10年前にガーデンがオープン。その4年後、馬小屋の1階部分を改装しカフェを開いた。ギャラリー開設は当初計画にはなかった。オーナーの大森康雄さんの友人で、写真家の山下僚さんの提案を受け、大森さんが農閑期に作業を始め、その後大工さんに依頼して完成。写真や絵画などを展示している。
ガーデンとカフェを担当している大森さんの妻、敬子さんは「花やカフェで提供している紅茶、スイーツ、さまざまなグッズは、暮らしに癒やしと豊かさを与えてくれます。ギャラリーの作品も同じです」と話す。ガーデン、ギャラリー、カフェには、ゆったりとした時間が流れている。
広尾町紋別14線73-2
Tel:01558・5・2525
営:11時~16時(LO)
休:月曜(祝日の場合は、翌平日)
ガーデン入場料:大人500円、高校生・中学生300円、小学生以下無料
<cafe&gallery nanakamado(ななかまど)>
木の器と共に過ごすカフェ
艶やかな木目が美しい皿やお椀。整然と並ぶ木の器が、カフェの風景となり溶け込む。旧中里小内の工房「十勝の木のうつわ」の作品展示・販売拠点として、2015年に開店した。同工房の佐々木要代表の妻・栄子さんが店を切り盛りする。
器はエンジュやサクラなど、道産の広葉樹を使って手作り。乾燥期間もあり、製材から何年もかけて完成するという。カフェではこの器を使ってメニューを提供。えい子さんが振る舞う栄養たっぷりの料理は、木の温もりでよりおいしさが増すのだ。「器のワークショップや料理教室も開きたい」。今後の進化にも乞うご期待―。
幕別町札内春日町297-24
Tel:0155・56・3573
営:11時~17時
休:火、水、木曜
※フリーマガジン「Chai」2018年9月号より。
※写真/辻博希。写真の無断転用は禁じます。
いろいろアート
身近なところで、いろいろなアートに触れられる十勝。意欲的に創作活動している作家、紅茶やコーヒー、スイーツで一息つき、気軽にアートを眺めるギャラリー。まちなかや足元にもアートがあふれています。