十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

パンが好き。(4)「十勝でも人気じわり 懐かしのコッペパン」

満寿屋のコッペパン。右列手前から、〈あんホイップ〉〈あんバタークリーム〉〈黒蜜きなこ〉各210円。〈焼きそばパン〉130円や〈チキチキ南蛮〉178円、〈コロッケパン〉130円(左列手前から)も同じ分類だ

定番の甘系3種は腹割が主流。9月は「栗」など、季節ごとの味も登場するのでお楽しみに


 コロンとした楕円(だえん)形のパンに、クリームや惣菜などをサンド―。学校給食でなじみのコッペパンが今、全国でブームとなっている。懐かしさに加え、素朴なパンにさまざまな食材を挟む楽しさが受けているようだ。道内は札幌を中心に専門店がオープン、十勝でもじわりと人気が高まっている。

 そもそもコッペパンとは何だろう。調べると、「大正期に日本で生まれた可能性が高い」「フランス語の『切られた』を意味する『クーペ』が語源」など諸説。普及は戦後、アメリカから援助された小麦粉などを使ったコッペパンが学校給食に出るようになってからだが、輪郭がはっきりしない。

切れ目を入れたパンに手際よくクリームが塗られていく


 一方、あいまいな定義ゆえ、各店の商品発想は自由である。満寿屋商店は昨年10月から、店舗を限定してコーナーを展開。現在はボヌール店で、〈あんバタークリーム〉など甘系3種を定番としているが、「コロッケパンなども仲間です」と店長の後藤麻希さん。バターロールと同じ生地で作り、背割りや腹割りしたものが“満寿屋流”コッペパンだ。10月7日には、対面で好みの具材を注文できるイベントも行うというから楽しみである。

十勝産小麦を使ったつややかな焼きたてのパン。3日前の予約でプレーンなコッペパンも手に入る


 「あんバター」をいただいた。長さ約18㎝のふわふわのパンに、十勝産小豆を使った自家製あんとバターの塩気が絶妙。パック牛乳片手に喉に流し込んでいた学校給食を思い出し、甘酸っぱい気分に―。あぁ、これもコッペパンの醍醐味(だいごみ)。次はどのフレーバーを食べようか。

取材協力/ボヌールマスヤ
帯広市西17条南3丁目25
Tel:0155・33・4659

ボヌール店のレジ前にあるコーナー。10月7日(15時~なくなり次第終了)の対面注文「つけ食」は、昨年も別店舗で実施した人気イベント。コッペパン販売の老舗専門店「福田パン」(岩手県)を参考にしたそう


※フリーマガジン「Chai」2018年10月号より。
※撮影/辰巳勲。写真の無断転用は禁じます。