十勝の“さしすせそ”(5)「せ 十勝の〝うま味〞をいかした、風味豊かなだししょうゆ」
鎌田醤油の〈煮魚醤油〉(左)と〈北海道 鮭節だし醤油〉。十勝の素材がいかされ、風味豊かな味に仕上がっている。〈煮魚醤油〉は、鎌田商事の通信販売か、インターネットで販売している。〈煮魚醤油〉は、200㎖入り270円、〈北海道 鮭節だし醤油〉は200㎖入り226円
サケの皮や身との間にはうま味成分がたっぷりと含まれているため、皮を取らずにまるごと節にする。鮭節は、うま味成分の一つであるグルタミン酸が豊富。同工場長の鹿島信康さんは「うま味成分だけをみると、かつお節はイノシン酸、昆布はグルタミン酸がそれぞれ多く、鮭節で取るだしは昆布に近いと思います」と特徴を話してくれた。
鮭節だし醤油を開発するきっかけは、20年前にさかのぼる。とかち財団食品加工技術センターが、川に遡上(そじょう)し採卵した後のサケを活用した「鮭節」を開発。この情報を同社がつかみ、それまでもかつお節やさば節を使っただし醤油を製造していたことから、同センターの協力を得て鮭節のだし醤油開発に着手した。甘味のあるまろやかな味に仕上がり、1998年に帯広に工場を開設し、翌99年に販売が始まった。
鮭節だし醤油を店頭販売しているのは道内だけ。鎌田醤油の販売会社、鎌田商事北海道支店の支店長、堺亮輔さんは「発売以来、好評を得ています。店頭では刺し身のコーナーに置かれていることもあり、刺し身や卵かけご飯に合うと思います」と話す。
鎌田醤油ではもう一つ、十勝の素材をいかした商品がある。〈煮魚醤油〉だ。本醸造醤油に、さば節、かつお節、昆布、鮭節のだしを合わせ、十勝ワインの白、砂糖、みりんなどで風味豊かに仕上げている。「魚に煮魚醤油を少したらして水を少し加え、ラップをかけて電子レンジで調理するだけでも、おいしい煮魚ができますよ。商品名に煮魚と付いていますが、風味が良いしょうゆとして煮物など、他の料理にも使っていただけます」と堺さんが薦めてくれた。
鎌田醤油は、1789(寛政元年)年に創業した老舗。現在は醤油をベースにした醤油加工品を中心に製造している。歴史ある醤油と十勝の〝うま味〞が合わさり、おいしい醤油が出来上がっている。
<鎌田商事北海道支店>
帯広市西20条北2丁目25-2(帯広工業団地内)
Tel:0155・38・5002 営:9時~17時30分
休:日曜、祝日、年末年始
https://www.kamada.co.jp
※フリーマガジン「Chai」2018年11月号より。
※撮影/岩間康。写真の無断転用は禁じます。
十勝の“さしすせそ”
農業地帯の十勝は、地元の農作物などを使った調味料の生産も盛ん。十勝らしい砂糖や塩、酢、しょうゆ、みそを紹介します。