温活のススメ(1)「気になる不調の原因かも? 冷えを知る」
「温活」は日ごろから体を温める活動のこと。では、そもそも「冷え」って何? ひと口に冷えと言っても、冷える体の場所や原因はさまざまです。基本を学び、改善に努めましょう。
冷えのタイプ
西洋医学では、「冷え」という病態や診断基準がありません。一症状として捉えられています。例えば、動脈の閉そく・狭さくによる疾患や、代謝機能が低下する疾患の結果、起こる症状のひとつです。一方、東洋医学の観点では、冷えを4つのタイプに分けて考えます。体の不調に実は冷えが隠れていることも…。まずは当てはまるものがないか、確認しましょう。
(1)上熱下寒型 症状:足が冷えて顔がほてりやすい
長時間風呂に入るのが苦手な人や、寒いところから温かいところに行くとのぼせやすい人、イライラすると急に顔が赤くなる人に多い傾向があります。またホルモンバランスも関係し、女性に多いのも特徴です。東洋医学では、体のエネルギー源であり各機能を動かす「気」が上半身に上ってしまう「気逆」(ホットフラッシュ)の状態と考えます。
(2)四肢末端型 症状:手首・足首より先が冷える
血の巡りが悪い人に多い傾向です。肩こりや腰痛、肌荒れがひどくはありませんか? 血の巡りは、食事量が足りず体を温める熱を十分作り出せないことが原因の場合も。胃腸障害が起因していたり、体が丈夫でも症状が出る人がいます。
(3)全身型 症状:全身が冷える
青白い顔をした体の弱い人や、胃腸が悪く体がむくみやすい人、目の下にくまが出ている人は要注意。新陳代謝が低下して血の巡りの悪い「瘀血(おけつ)」の状態だったり、胃腸障害が隠れていることも。
(4)体感異常型 症状:冷えを訴えるが、手足を触っても冷たくない場合
心身症や神経症などの精神疾患が主な原因です。
低体温とは違うの?
体温を測って35℃台の人を「低体温」と言うことはありますが、冷え性は体温が基準ではありません。体温が高い人でも冷え性の人もいます。
冷えは放っておいていいの?
一般的に「冷え=病気」という考えは乏しいですが、本人は非常につらいもの。仕事の能率が落ちたり、放っておくと、神経症や総合失調症、不妊の原因にも。胃腸障害が悪化して栄養状態が低下したり、肌荒れを引き起こすこともあります。別の病気が隠れているケースもあるので、専門医に相談するなど早めに対処しましょう。
冷えに負けない体に!
温活のキホン
温活のキホンは、生活習慣の見直しから。日常のちょっとした心がけでできることがたくさんあります。
(1)胃を温める
東洋医学では、胃は「体のエンジン」と言われるほど重要です。例えば、車のエンジンがダメになると、ヘッドライトも明るくならず暖房も効きません。胃も同じで、おなかがすいてくると、体が冷えてくる経験がある人はいませんか? 温かいものを飲んだり、腹巻きなどで胃をいたわりましょう。
(2)入浴
入浴は全身を温めることができる効率的な方法です。血行がよくなり新陳代謝が高まります。入浴剤などを活用してリラックスできるのも◎。
(3)適切な睡眠
良質な睡眠が取れないと自律神経が乱れて血流が悪くなり、冷えの原因に。新陳代謝を高めるには、7~8時間の睡眠がよいと言われています。
(4)適度な運動
運動は毛細血管を広げて体を温め、熱を作り出す筋肉を維持します。また、ストレスで血行が悪くなり、冷えを助長することがあります。運動はストレスを発散できる点でも、ぜひ取り入れて。
(5)体を温める食品の摂取
胃を冷やす冷たい食べ物や飲み物は避けること。体を温める食品を積極的に取り、体を冷やす食材は加熱するなど工夫をして。寒い場所で取れるものや根菜類、冬が旬の食材は体を温めるものが多いので、上手に食卓に取り入れましょう。また、冷えの一因となる重金属が含まれる可能性がある魚類は食べ過ぎに注意を。
◆体を温める食品
寒い場所で取れるもの、土の中で育つもの、冬が旬のもの
〔土の中で育つ植物性食品〕
根菜類(ダイコン、ニンジン、ゴボウなど)、イモ類(ジャガイモ、サツマイモ、ヤマイモなど)、ネギ・ニラ類(白い部分)、ショウガ、レンコンなど
〔海藻類〕
ワカメ、コンブ、ノリなど
〔豆類、種実類〕
大豆、小豆、ごま、落花生など
〔果物類〕
クルミ、クリ、ウメ、リンゴなど
〔キノコ類〕
全般(軸の部分)
〔乾物〕
乾魚・肉、干し柿、ドライフルーツなど
〔動物性食品〕
牛肉、鶏肉、豚肉、魚(イワシ、サバ、サンマ、ブリ、カレイなど)
〔発酵食品、調味料〕
酒かす、こうじ、みそ、しょうゆ、酢、チーズ、ヨーグルト、納豆、ごま油、紅茶など
〔漬物〕
梅干し、みそ漬けなど
〔精製していない食品〕
玄米、アワ、ヒエ、天然塩、精製していない砂糖など
〔加熱調理した食品〕
◆体を冷やす食品
暑い国で取れるもの、地上で育つもの、夏が旬のもの
〔地上で育つ植物性食品〕
ナス、キュウリ、トマト、レタス、ホウレンソウ、アスパラガスなど
〔果物類〕
スイカ、メロン、バナナ、マンゴー、イチゴ、ナシ、柿など
〔動物性食品〕
動物性脂肪、牛乳(温めればOK)、バター、カニなど
〔人工的に精製した食品〕
白米、精白糖、精製漂白小麦粉、化学調味料、合成酢など
〔嗜好品〕
酒、たばこ、香辛料など
◆教えてくれた人
岩田一朗さん
イワタクリニック(帯広市西12北2)の院長。日本東洋学会専門医、日本内科学会認定医
冷えのタイプ
西洋医学では、「冷え」という病態や診断基準がありません。一症状として捉えられています。例えば、動脈の閉そく・狭さくによる疾患や、代謝機能が低下する疾患の結果、起こる症状のひとつです。一方、東洋医学の観点では、冷えを4つのタイプに分けて考えます。体の不調に実は冷えが隠れていることも…。まずは当てはまるものがないか、確認しましょう。
(1)上熱下寒型 症状:足が冷えて顔がほてりやすい
長時間風呂に入るのが苦手な人や、寒いところから温かいところに行くとのぼせやすい人、イライラすると急に顔が赤くなる人に多い傾向があります。またホルモンバランスも関係し、女性に多いのも特徴です。東洋医学では、体のエネルギー源であり各機能を動かす「気」が上半身に上ってしまう「気逆」(ホットフラッシュ)の状態と考えます。
(2)四肢末端型 症状:手首・足首より先が冷える
血の巡りが悪い人に多い傾向です。肩こりや腰痛、肌荒れがひどくはありませんか? 血の巡りは、食事量が足りず体を温める熱を十分作り出せないことが原因の場合も。胃腸障害が起因していたり、体が丈夫でも症状が出る人がいます。
(3)全身型 症状:全身が冷える
青白い顔をした体の弱い人や、胃腸が悪く体がむくみやすい人、目の下にくまが出ている人は要注意。新陳代謝が低下して血の巡りの悪い「瘀血(おけつ)」の状態だったり、胃腸障害が隠れていることも。
(4)体感異常型 症状:冷えを訴えるが、手足を触っても冷たくない場合
心身症や神経症などの精神疾患が主な原因です。
低体温とは違うの?
体温を測って35℃台の人を「低体温」と言うことはありますが、冷え性は体温が基準ではありません。体温が高い人でも冷え性の人もいます。
冷えは放っておいていいの?
一般的に「冷え=病気」という考えは乏しいですが、本人は非常につらいもの。仕事の能率が落ちたり、放っておくと、神経症や総合失調症、不妊の原因にも。胃腸障害が悪化して栄養状態が低下したり、肌荒れを引き起こすこともあります。別の病気が隠れているケースもあるので、専門医に相談するなど早めに対処しましょう。
冷えに負けない体に!
温活のキホン
温活のキホンは、生活習慣の見直しから。日常のちょっとした心がけでできることがたくさんあります。
(1)胃を温める
東洋医学では、胃は「体のエンジン」と言われるほど重要です。例えば、車のエンジンがダメになると、ヘッドライトも明るくならず暖房も効きません。胃も同じで、おなかがすいてくると、体が冷えてくる経験がある人はいませんか? 温かいものを飲んだり、腹巻きなどで胃をいたわりましょう。
(2)入浴
入浴は全身を温めることができる効率的な方法です。血行がよくなり新陳代謝が高まります。入浴剤などを活用してリラックスできるのも◎。
(3)適切な睡眠
良質な睡眠が取れないと自律神経が乱れて血流が悪くなり、冷えの原因に。新陳代謝を高めるには、7~8時間の睡眠がよいと言われています。
(4)適度な運動
運動は毛細血管を広げて体を温め、熱を作り出す筋肉を維持します。また、ストレスで血行が悪くなり、冷えを助長することがあります。運動はストレスを発散できる点でも、ぜひ取り入れて。
(5)体を温める食品の摂取
胃を冷やす冷たい食べ物や飲み物は避けること。体を温める食品を積極的に取り、体を冷やす食材は加熱するなど工夫をして。寒い場所で取れるものや根菜類、冬が旬の食材は体を温めるものが多いので、上手に食卓に取り入れましょう。また、冷えの一因となる重金属が含まれる可能性がある魚類は食べ過ぎに注意を。
◆体を温める食品
寒い場所で取れるもの、土の中で育つもの、冬が旬のもの
〔土の中で育つ植物性食品〕
根菜類(ダイコン、ニンジン、ゴボウなど)、イモ類(ジャガイモ、サツマイモ、ヤマイモなど)、ネギ・ニラ類(白い部分)、ショウガ、レンコンなど
〔海藻類〕
ワカメ、コンブ、ノリなど
〔豆類、種実類〕
大豆、小豆、ごま、落花生など
〔果物類〕
クルミ、クリ、ウメ、リンゴなど
〔キノコ類〕
全般(軸の部分)
〔乾物〕
乾魚・肉、干し柿、ドライフルーツなど
〔動物性食品〕
牛肉、鶏肉、豚肉、魚(イワシ、サバ、サンマ、ブリ、カレイなど)
〔発酵食品、調味料〕
酒かす、こうじ、みそ、しょうゆ、酢、チーズ、ヨーグルト、納豆、ごま油、紅茶など
〔漬物〕
梅干し、みそ漬けなど
〔精製していない食品〕
玄米、アワ、ヒエ、天然塩、精製していない砂糖など
〔加熱調理した食品〕
◆体を冷やす食品
暑い国で取れるもの、地上で育つもの、夏が旬のもの
〔地上で育つ植物性食品〕
ナス、キュウリ、トマト、レタス、ホウレンソウ、アスパラガスなど
〔果物類〕
スイカ、メロン、バナナ、マンゴー、イチゴ、ナシ、柿など
〔動物性食品〕
動物性脂肪、牛乳(温めればOK)、バター、カニなど
〔人工的に精製した食品〕
白米、精白糖、精製漂白小麦粉、化学調味料、合成酢など
〔嗜好品〕
酒、たばこ、香辛料など
◆教えてくれた人
岩田一朗さん
イワタクリニック(帯広市西12北2)の院長。日本東洋学会専門医、日本内科学会認定医
【特集】温活のススメ
寒さ厳しい季節、冷えで悩んでいませんか? 冷えは女性の健康や美容の敵とも言われています。今回は、体を温める食事やツボ、ヨガ、グッズなどを紹介。日常生活の中で、冷えないカラダを作りましょう。
※フリーマガジン「Chai」2019年1月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。
温活のススメ
寒さ厳しい季節、冷えで悩んでいませんか? 冷えは女性の健康や美容の敵とも言われています。今回は、体を温める食事やツボ、ヨガ、グッズなどを紹介。日常生活の中で、冷えないカラダを作りましょう。