十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2025年1月号

特集/今食べたい 冬の鍋

本日、肉気分(8)「ジビエを知りたい。~やせいのおにくや、ELEZO(エレゾ)社」

足寄の「古道具屋うさぎ」と同じ建物に処理場があるため、店舗販売もしているがネット通販が確実

足寄町 やせいのおにくや
自然体で向き合い狩猟した鹿肉

 足寄で活動する「やせいのおにくや」代表の儀間雅真さんは、猟に対して「自然体」だ。臆することなく猟に向き合い、「狩る・処理・出荷」をすべてひとりで担う。

 そんな儀間さんの撃ちとった鹿の肉は、主に首都圏のレストランに卸される。こだわりは「冷凍しないこと」。肉の注文を受けてから猟に出ることがあるほど鮮度を重視。狩猟した鹿は皮などの処理をして初めて肉の状態が分かるといい、自信の持てる肉だけを出荷する。

 また昨年、およそ60g以上の鹿肉が入っているグリーンカレーの缶詰を発売した。料理人が調理したカレーのおいしさに、「いつでも食べたい!」と思ったのが商品化のきっかけだという。狩猟同行ツアーも開催。詳しくは問い合わせを。

〈エゾシカ肉のグリーンカレー〉

独特な形状の狩猟用ナイフ。薬きょうはキーホルダーにして販売も


足寄町旭町4丁目100-3(古道具屋うさぎ併設)
Tel:なし
https://yaseionikuya.theshop.jp/




「自身もエレゾ社に魅せられたひとり」と取締役の金子将人さん。オリジナルの白カビを付け1カ月半熟成する〈サラミ〉はワインやブランデーなど香り高いお酒と相性抜群


豊頃町 ELEZO(エレゾ)社
一切の妥協を許さない料理人が作り出す唯一無二の味わい

 「命あるものをいただく以上、食材を無駄にはしない」と豊頃・大津を拠点に、「生産狩猟」「枝肉流通」「シャルキュトリ(食肉加工品)製造」「レストラン」と、生産から提供まで全て自社で行うエレゾ社。

 一頭まるごと使い切るのが同社の姿勢。ロースやバラなど需要の高い部位は全国各地の会員制レストランへ。需要の低い腕やスネ、内臓なども付加価値が付けられるよう、サラミやパテ、ソーセージなどの加工肉を自家製で生産している。

 製造にあたり絶対条件は「食材を超えないこと」。スパイスなどで元々無いうま味を付けることはせず、シンプルな味付けに。素材の自然な味を引き出せるよう鮮度や温度、湿度などを徹底管理し、日々真摯(しんし)に食材と向き合う。

 肉を知り尽くしたプロの料理人が作るシャルキュトリ。ぜひ一度ご賞味あれ。

蝦夷(えぞ)鹿肉のほか、黒軍鶏(シャモ)、放牧豚で作る〈テリーヌ〉など目新しい商品が並ぶ。オンラインショップにて購入可能


豊頃町大津125
Tel:015・575・2211
http://elezo.com/

活動拠点のラボラトリー。ジビエ、食鶏、家畜などの処理が一つの建物で完結する 豊頃町大津125 


※フリーマガジン「Chai」2023年5月号より。
※撮影/辻 博希、スタジオ・イッセイ 高橋一生。写真の無断転用は禁じます。