2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

いいものfromトカチ(45)「木遊人masamiの『木の器』」

上からウレタン塗装の〈エンジュ(生木)半割丸太のナチュラルウッドボウル〉6,000円、鉄媒染で着色した〈ナラ(生木)のボウル〉1,700円、オイル塗装の〈イタヤカエデのプレート〉7,500円

 「趣味の範囲だから」と控えめに話す木遊人(ぼくゆうじん)masamiこと三好政巳さんの作品は、「芸術品」と言っても過言ではないほどの造形美。使うのがもったいないと感じる洗練された作品ばかりです。日々、自宅横にある小さな作業場(工房)を行き来し、器や万年筆などの日用品からテーブルやタンスなどの家具まで幅広く手掛けています。

 素材はサクラやタモなどの硬く強度がある広葉樹を使用。〈木の器〉は、木工旋盤を使い、回転させた木材を丁寧に削り、美しい曲線を描きます。樹種ごとに異なる木目が器に反映するため、一つとして同じ作品になることはないそう。オイルやウレタンなどを使い分けて塗装し、ツルツルとした滑らかな手触りを作り出します。

 三好さんのモットーは、木の個性を最大限に生かすこと。穴やこぶ、ひび割れなど、普通なら廃棄する木々も素材として使います。特徴的な部分にこそ、木が生きてきた証が表されているといい、木への深い愛情がうかがえます。

 温かさと美しさも兼ね備えた木の器。香りや、手触り、色の変化など、木の表情や育った環境に思いをはせながら、毎日大切に使いたいものです。

<三好政巳さん>
清水町生まれ、別海町、中標津町育ち。函館の教育大学を卒業後、根室管内で38年小学校の教員として働く。教員時代、木製のカヌー制作をしたことをきっかけに木工に関心を抱く。定年退職後の2008年にウッドターニング(木工旋盤)を中心に趣味の木工制作を始める。管内の木工愛好者グループ「とかち遊木民」に所属している。


年に1回、ウッドショップ木蔵(音更)「とかち遊木民」の展示販売会に参加。購入・問い合わせはインスタグラム(miyosi.masami1400)のDMにて

いいものfromトカチ
Made in 十勝の良質な雑貨を紹介するChaiの連載です。

※フリーマガジン「Chai」2023年6月号より。
※撮影/辰巳勲。写真の無断転用は禁じます。