パン愛で、パンパン(11)「満寿屋 『十勝をパン王国に』」
◆パン屋が集まる地域に
35年前、「どこの小麦を使用しているか」と問われたのを発端に、十勝産小麦使用への舵を切った。小麦の安定的な栽培など、道のりは簡単ではなかった。もちもちしたでんぷん質が多い十勝の小麦と十勝の良質な軟水を使い、気合と情熱たっぷりに試行錯誤してレシピを開発。こうしてできたのが、自慢のしっとりとしたくちどけの良いパンだ。
一方で、小麦が十勝の特産品だと全国的には知られていない。管内で消費されるパンの多くは外国産小麦のパンだ。当社だけでなく、十勝産小麦を使うパン屋がもっと増えてほしい。観光客も「十勝でパンを買いたい」と思うほど、パン屋が集まるエリアになればと思う。
◆選ぶ楽しみ味わって
満寿屋の7店舗は多種多様なパンを提供するため、店舗ごとに個性を変えた。また、今秋から「ますやのバス」を始動する。商品を積んだバスの中で、パンを選ぶワクワクを味わって購入してほしい。
社内では新たに「パン王国準備室」も新設。地域にパン文化を浸透させるよう、さらに発信していく。
◆満寿屋を支える人たち
ボヌール工場と木野工場で、店舗に並ぶ前のパンの前調理や生地の開発を担う細野亨マネージャーは、「いつもと同じ、が通じないのがパン作り」と話す。
それは、農作物である小麦は生育状況で品質が変わるから。おいしく製造できるようレシピの微調整は欠かせない。品質を見極めることで安定的に高品質なパンの製造を実現している。
さらに、「いかに作りやすいかも重要」と細野さん。ボヌール工場では1日に7000個のパンを製造。製造する人々の働き方も常に考えているのだ。
<近くのますやさん>
※各店舗の営業時間、定休日はホームページから。
※フリーマガジン「Chai」2022年10月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。
パン愛でパンパン
十勝は小麦の一大生産地。パン生地のように膨らんだパン職人たちの思いをお届けします。素材や製法などを厳選するこだわりパン、おなじみの店やちょっと行きにくくて憧れの店もご紹介。焼きたてパンのように、ほっこり温かい特集です。