十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

まちの食堂(1)「個性派食堂をゆく(1)~ふじもり」

ハンバーグやスパゲティ、エビフライ、マグロの山かけなどを華やかに盛り付けた2段重〈ジャンボ弁当〉は、ふたを開けるワクワク感を楽しんで。〈豚丼〉968円や〈カツスパゲティ〉792円も人気だ

 老舗店や女将がいる店など、何度も足を運びたくなる食堂を紹介します。


◆帯広屈指の老舗店
 帯広っ子なじみの食事処「ふじもり」。木材商の初代・藤森熊作さんが明治30年代、十勝川の大洪水で木材をすべて流されたのを機に始めた老舗である。

鉄道の開通に合わせて、明治38(1905)年には帯広駅前に移転。写真は大正5(1916)年当時。初代・熊作さんをはじめ、代々帯広の飲食店組合の長も務めて飲食業界の発展に貢献した


 「おいしいものを安く」をコンセプトに、和洋のメニューはどれもボリューム満点。中でも、1969年ジャンボジェット機就航にちなんで先代・藤森照雄さんが考案した〈ジャンボ弁当〉968 円は、直径20㎝の2段重にスパゲティやハンバーグなどふじもりの名物が少しずつ盛られ、さながら宝箱のようだ。

「先代、先々代の思いを大切にしつつ、宴会料理は時代に即したメニューを提供したい」と料理長の須藤雄二さん

食事前のサービス「メロンソーダ」もアイデアマンだった照雄さんの案


 地元の常連や観光客もちろん、ときには高齢者のいこいの場、小学生が友達同士で訪れることもある。誰もが心地よくなれる空間は、従業員のもてなしがあってこそ。取締役・藤森元恵さんは、「長く続けられたのは皆さんのおかげ。堅実に営んでいきたい」と目を細めた。

<ふじもり>
帯広市西2条南11丁目8
Tel:0155・26・2226
営:11時~21時
休:火曜


※フリーマガジン「Chai」2020年10月号より。
写真/辻 博希
※写真の無断転用は禁じます。

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【特集】まちの食堂
 おふくろの味を求めて、変わらぬ笑顔で迎えてくれる店主に会いに―。食堂に行くと、何気ない幸せがあふれていて、なぜかホッとする。今回は、老舗から庁舎内の食堂まで、まちの食堂を一挙ご紹介。食欲の秋は、食堂巡りでお腹も心も満たされて。