2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

今日からできる食費の節約術(3)「肉・魚・野菜の賢い保存術」

 手に入れた食材は、腐らせずに食べ切ることが大切です。肉や魚、野菜を保存するときのこつを帯広大谷短期大学・生活科学科の管理栄養士、門利恵さんに教えてもらいました。

食材の特徴を知ってスキルアップ![正しい冷蔵・冷凍方法はこれでした。]
 編集部内で無駄にしがちな食材をピックアップ。保存の理屈を知ると、他の食材にも応用できます。

【まずは基本のおさらい】
低温といえども…冷蔵・冷凍庫内は清潔に!

食品が腐るのは細菌の活動が原因。温度を下げればそれを抑えられますが、低温でも増殖する菌もあるので庫内の掃除や整理はこまめに! 冷凍庫(-18~-20℃)も過信は禁物。菌の増殖は止まっていても死滅はしていません。

おいしくなって一石二鳥!塩と砂糖の力を借りる
微生物の繁殖にはある程度の水分が必要。塩や砂糖、酢を使ったおなじみの保存方法は、塩分や糖分の濃度を上げることで食材の水分(栄養素と結合していない水分)の比率を下げ、微生物の活動を抑えます。食品そのものの水分を除去する乾燥、燻(くん)製、干物といった処理も有効です。

肉や魚は「小分け」にして急速冷凍!
消費期限の短い肉や魚はつい冷凍庫に入れがちですが、解凍して食べたらおいしくなくて廃棄…といった経験はありませんか? これは、食材がゆっくり凍る間に氷の結晶が大きくなり、食品の組織を壊してしまうから。解凍すると、タンパク質やうまみ成分が含まれるドリップ(肉なら赤い液体)の量が多くなり、おいしさが落ちてしまいます。これを防ぐのが急速冷凍です。


まず肉や魚の水分をふき取り、霜がつくのを防ぎます。冷気が伝わりやすいよう小分けにし、ラップでそれぞれをきちんと包んで。空気を遮断して酸化を防ぎます。冷えやすいアルミのトレーなどに載せて、冷凍庫へ。


肉や魚は酸化も大敵!
脂質が酸化すると酸化臭がしたり品質劣化につながります。
☆解凍は冷蔵室でゆっくり行いましょう
☆冷蔵で食べ切る場合も、小分けにしてラップで包むのが理想

野菜は「育った環境」「休眠状態」で保存
収穫後も生きている野菜は、育った環境に近い状態で保存するのがベスト。また、呼吸して成熟が続くため、休眠状態にしてあげることで劣化の速度を抑えることができます。

ニンジン
「立てる」「ヘタ部分を切り落とす」

成長点であるヘタ部分を切り落とします。乾燥を防ぐようラップや新聞紙で包んで、涼しい場所か野菜室へ。畑の状態を保つため、先を下にして立てましょう。ダイコンなども同様に、葉の部分を含む成長点はすぐにカットして。
☆冷凍なら…好みの大きさ 保存袋にに切って、固めにゆでて保存袋へ


シソ
「水分の蒸発を防ぐ」

コップの底に水を入れ、あらかじめ端を少し切った茎部分だけを浸
します。ラップをかけて冷蔵庫へ。
☆冷凍なら…水気を切って細かく刻んで保存袋に


モヤシ
「低温保存」

野菜室より温度が低い冷蔵室での保存が理想です。また、もともと水の中で発芽するモヤシは、ふた付きの容器に全体が浸るくらいの水を入れると長持ちします。水は毎日交換を。
☆冷凍なら…買ったときの袋のままでも冷凍可。封を切ったものは水気をよく切って、保存袋に入れて空気を抜きます。冷凍可能ですが、多少食感は変化します。


キュウリ
「立てる」

ラップや新聞紙などで包みます。へた部分を上にし、立てて野菜室へ。冷気が直接当たらないように注意。
☆冷凍はNG


キャベツ
「芯をくり抜く」

丸ごとの方が日持ちします。水分を必要とする芯をくり抜き、湿らせたキッチンペーパーを詰めてビニール袋等に入れると長持ち! レタスなど同じく芯のある野菜に応用可。
☆冷凍なら…好みの大きさに切って 保存袋へ。空気はできるだけ抜きます


冷蔵庫が苦手な野菜も?
適温が10~13℃のジャガイモ、湿度が苦手なタマネギやショウガなどは風通しのよい冷暗所がベスト。他にも、温かい場所が主産地の野菜は冷蔵が向かないと言われているので注意!

※フリーマガジン「Chai」2020年2月号より。
※写真/辻博希。写真の無断転用は禁じます。