十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

おさんぽ日和。(6)「オンネトー湯の滝」

見上げる滝は壮観。岩盤間から湯が染み出、黒い部分が微生物の作用で沈殿を続けるマンガン酸化物。地球の歴史を解明する貴重な現象だそう

国立公園の不思議な滝 
 オンネトーに来たら、訪れてほしい場所がある。活火山・雌阿寒岳の麓にある「湯の滝」だ。マンガン酸化物の生成が今でも陸上で確認できる世界でも珍しい場所で、2000年に国の天然記念物に指定された。

 湯の滝へは、オンネトーから続く道道949号沿いの駐車場から約1.5㎞、針葉樹の原生林を歩く。森林浴をしながら、木々や野草を観察するのもいい。途中200mごとの案内板を励みに進むと、急に視界が開けて息をのむ。

 メインの滝は高さ20m。岩肌の真っ黒な堆積物がマンガン酸化物で、苔とのコントラストは壮大な庭園のようだ。その名の通り「温泉の滝」でもあり、手で触れた湯の温もりにまた感動! 生命力にあふれ、“地球の秘密基地”に迷い込んだ気分になる。

 一方、1980年代にグッピーなどの外来魚を放った心ない行為があり、20年近く駆除作業が続く。秘密基地への立ち入りは、マナー順守で。

案内板で現在地を把握できて安心

エゾオオサクラソウ。草花が道中を彩る

りんとした空気が気持ちいい散策路

滝の手前にある休憩施設。マンガン酸化物生成について学べる


オンネトーに寄り道
北海道三大秘湖のひとつ「オンネトー」は撮影スポット。雌阿寒岳に抱かれた景色が美しい


足寄郡足寄町上螺湾 散策路入り口に駐車場・トイレあり 
問:NPO法人あしょろ観光協会(Tel:0156・25・6131)


※フリーマガジン「Chai」2018年7月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。