読むたのしみ(15)「十勝ゆかりの本、集めました」
「一千兆円の身代金」
八木圭一著 宝島社
音更町出身の八木圭一氏による本作は、第12回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞。元首相の孫である小学生が誘拐され、犯人「革命係」は財政赤字の見直しか、一千兆円の身代金を請求する。
「いっしょだよ」
小寺卓矢写真・文 アリス館
芽室町在住の写真家・小寺卓矢氏が撮影した草花の写真に添えられた、優しいメッセ―ジの数々。自然の美しさと命の尊さを教えてくれる写真絵本は、子どもだけでなく大人の心にも響く。
「しょっぱい夕陽」
神田茜著 講談社
帯広市出身の講談師・神田茜氏の短編集。妻に浮気された公務員、ママ友になじめない母親、妄想で恋愛する女など、48歳を迎えた男女のほろ苦く、かつクスりと笑えるエピソードが満歳。
「ゆうたくんちのいばりいぬシリーズ」
きたやまようこ作 あかね書房
1988年に発行されて以来、ロングヒットになっているシリーズ絵本。著者は1998年に帯広市にアトリエを構えている。いばり顔の犬「じんぺい」と飼い主の男の子「ゆうた」とそ
の家族を描く。
※写真はシリーズのうちの一冊
「自由訳 十勝日誌」
松浦武四郎原文 たけしろうカンパニー
北海道の名付け親として知られる松浦武四郎が記した紀行文の、現代語訳版。現在と一致する地名は漢字で表記し、そのほかは原文のまま記載。送り仮名や図表も加え、わかりやすく編集している。
「あしたはれたら死のう」
太田紫織著 文藝春秋
自殺を図った女子高生は、命を取り留めたものの記憶を失っていた。自死の理由を探るうち、思春期ならではの悩みが明らかになる。札幌市出身の人気作家が十勝を舞台に選んだ青春小説。
「チーム・オベリベリ」
乃南アサ著 講談社
約140年前、明治時代に十勝を開拓した「晩成社」。同社幹部の渡辺勝の妻・カネの視点を通じた、若者たちの苦難と壮絶な生きざまとは―。直木賞作家が実話を基に描く、長編フィクション。
「帯広昭和ノスタルジー 我が青春の街角へ」
ぶらんとマガジン社編著
昭和30~40年代の帯広の街並みを、写真と共に振り返る。にぎわう帯広駅前や広小路にアーケードができたばかりの様子、老舗店の昔など、当時を知る人も知らない人も引き込まれるはず。
「百姓貴族」(1~6巻)
荒川弘著 新書館
「銀の匙」「鋼の錬金術師」などで知られる荒川弘氏が農業をテーマに描く、エッセイ漫画。かつて十勝にある実家の農場で働いていた著者が、ユーモアを交えながら“農家のリアル”を伝える。
「ブリザード」
維住玲子著 中央公論社
帯広市出身の維住玲子氏が女流新人賞を受賞した表題作のほか、全3編を収録。吹雪の峠で遭難寸前のサラリーマンの前に、謎めいた女性自衛官が現れ…。テンポが良い展開と独自のユーモアが光る。
「輓馬(ばんば)」
鳴海章著 文藝春秋
ばんえい競馬をめぐる人間ドラマ。映画「雪に願うこと」の原作でもある。借金を抱え、兄を頼って厩舎(きゅうしゃ)に逃げ込んだ男の成長と再生の物語。帯広市出身の著者による厩舎の描写は、臨場感にあふれる。
「北の風貌」
関口真路著 冬青社
帯広市出身の写真家・関口真路氏が30年にわたり撮影し続けた、十勝の四季。美しい写真を通じると、身近な景色が新鮮に感じられる。フィルムカメラで撮影した、ぬくもりあふれる色合いにも注目を。
<取材協力>
帯広市図書館
帯広市西2条南14丁目3-1
Tel:0155・22・4700
※フリーマガジン「Chai」2020年11月号より。
読むたのしみ
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