十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

てくてく名店さんぽ(38)「シングルリード工房」

オープンは2011年で、池田町のほか台湾支店もある。クラシックやジャズを愛する川嶋さんは、イベントの主催も数多く手掛けてきた

木管楽器の“心臓”と向き合って
 「リード」とは、木管楽器の息を吹き込む部分に付いている振動体のこと。ケーンという葦(アシ)の一種で作られており、楽器ごとにサイズが異なるだけでなく堅さもさまざまだ。しかし天然の素材ゆえに維管束の不均等なスジが入り、そのまま使っても音が響かないことが多いそう。

 同工房の代表取締役・川嶋敬一郎さんがリードの調整に興味を持ったのは約10年前。当時音大生だった娘が、サクソフォンのリードの不具合に悩んでいたのがきっかけだった。川嶋さんは木の堅さを測定する専用機器「リードマイスター」を手に入れ、実践を通じて技能を取得。裏表のスジを断ち切るのも微調整もすべて手作業で、経験を積み重ねてきた。

 その技術を信頼する全国のプロ・アマの演奏家から調整の依頼が来る。道内外の楽器店・ミュージシャンに呼ばれて、現地で調整を請け負うことも。「皆に喜ばれるのがうれしくて」と川嶋さん。紛れもなく〝舞台裏のベストプレーヤー〞だ。

リードの先端の堅さをデータ化できる機械「リードマイスター」。道内でいち早く導入し、リード調整の先駆者となった

リードの大きさは楽器ごとに異なる。小さい方からクラリネット用、アルトサックス用、テナーサックス用、バリトンサックス用


<シングルリード工房>
池田町東1条3丁目
Tel:015・572・2075
営:9時~17時
休:日曜、祝日


てくてく名店さんぽ
帯広や十勝の町の名店を紹介する、Chaiの連載です。

※フリーマガジン「Chai」2022年11月号より。
※撮影/鎌田廉平。写真の無断転用は禁じます。