2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

犬と暮らす(5)「大切な愛犬を守ろう 犬の病気と予防」

 ワンちゃんの健康は飼い主の気遣いから。病気と予防の基本について学びましょう。


Q.かかりやすい病気は?
A.皮膚病や胃腸障害、歯周病も注意
 下痢や嘔吐(おうと)などの胃腸症状は、すべての年齢でよく起こります。原因はさまざまで、一時的な体調不良ですぐ回復することも多いですが、中には重い病気が隠れていることも。軽症に見えても受診しましょう。

 見過ごされやすいのが歯周病です。高齢になって気付いたときは、歯がボロボロということがよくあります。最近は毎日歯磨きをする飼い主も増えましたが、「口の中は一度も見たことがない」という人は、一度病院で相談を。

 皮膚病や外耳炎も相談を受けることが多いです。日頃から、赤みやかさつきがないかなどをチェックしましょう。

多飲多尿は病気のサイン!
例えば、体重5㎏の犬が1日に500㎖以上の水を毎日飲む場合は、腎臓病、糖尿病、
副腎疾患、子宮蓄膿症(未避妊の雌)などの病気の可能性があります。

Q.病気の予防で大切なことは?
A.年に1、2回は健康診断を!
 年に1、2回の健康診断をお薦めしています。病気の早期発見はもちろん、定期的に獣医師のアドバイスを受けられることや、身体検査や血液検査のデータを蓄積できることもメリット。病院に慣れておき、主治医も飼い主も「その犬の正常」を知っておくと、病気になったときにより的確な治療方法を選択できます。

ワンちゃんの健康診断
血液検査やレントゲン、エコー、尿便の検査が主。血液検査だけでも定期的に!

犬の1年は人の4~5年分
犬の一生は急ピッチ。中年と言われる7歳からは特に、意識して受診を。


Q.予防接種やワクチンについて教えて
A1.狂犬病の予防接種は義務
 犬を飼い始めたら、居住市町村への登録と、「狂犬病予防接種」が義務付けられています。狂犬病は、世界で毎年5万人以上が亡くなる恐ろしい病気です。帯広市では例年、指定日時に集まって行う「集合注射」を実施していますが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止となりました。各動物病院で忘れずに受けましょう。

A2.混合ワクチンは生活環境などを考慮
 混合ワクチンは、感染した犬からうつる可能性がある伝染病を予防します。ワクチンの種類や接種する頻度の考え方はさまざまです。かかりつけ医と相談し、犬の生活環境や健康状態などを考慮して予防計画を立てましょう。

ワクチンで予防できる伝染病
[犬ジステンパー]

 高熱や目やに、鼻水が出て元気や食欲がなくなり、嘔吐、下痢の症状があります。病気が進むと神経系が侵され、まひなどが残る場合も。死亡率の高い病気。
[犬パルボウイルス感染症]
 激しい嘔吐、下痢を起こし、食欲がなくなって急激に衰弱します。重症になると脱水症状が進み、短時間で死亡することがあります。伝染性が強く、死亡率が高いです。

◎犬伝染性肝炎◎犬アデノウイルス2型感染症◎犬パラインフルエンザウイルス感染症◎犬コロナウイルス感染症◎犬レプトスピラ感染症

人にも感染。マダニに注意!
刺されると皮膚炎だけでなく、細菌やウイルスの感染を引き起こすこともあるマダニ。マダニを媒介した人への感染症もあり、北海道でも報告されています。駆除には、背中に垂らすスポット剤や、おいしく食べられるチュアブル剤があります。

生活のことなど小さなことも遠慮せず主治医に相談を。納得して医療を受けましょう。

Q.去勢・避妊手術は受けるべき?
A.元気なときに受けることをお薦めしています
 性ホルモンに関係した病気は高齢になってから起こり、治療が難しいケースが多いです。手術は、病気の予防や望まない妊娠を避ける、発情中のストレスから解放されるというメリットがある一方、太りやすい体質になるデメリットもあります。

Q. 健やかな毎日を送るため大切なことは何?
A.「バランスのよい食事管理」「適度な運動」「定期的な受診」です。
 さらに、飼い主と楽しく過ごしてストレスを減らすこと! 人と共に心と体の両方を健やかに保つ意識が、幸せなペットライフにつながります。

豆知識
犬に与えたらダメな食べ物例と起こる症状
【チョコレート】⇒興奮、けいれん、下痢、嘔吐(おうと)
【ネギ類】⇒貧血、血尿、呼吸困難、下痢、嘔吐
【ブドウ】⇒腎不全、下痢、嘔吐
【キシリトール】⇒低血糖、ふらつき、けいれん、嘔吐
他にも、【アボカド】、【ナッツ】、【カフェイン】、【アルコール】はNG!

<教えてくれた人>
十勝のそら動物病院
院長 及川一生さん


帯広市出身。北里大学卒業後、道内や茨城県の動物病院に11年勤務。2020年に開院。
帯広市東12条南8丁目1-6
Tel:0155・67・1056

※フリーマガジン「Chai」2020年9月号より。
※写真の無断転用は禁じます。