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ライン通知数百件、募る不安 中学生の所持率63% スマホ、いつから?(1)

 今春、帯広市内のある母親は長男の中学校入学を機にスマートフォン(スマホ)を買い与えた。送迎や習い事の連絡に必要だったからだが、同級生らとのSNS「ライン」のグループに加入したことで、放課後は絶えずやりとりが続くようになり、朝起きるとメッセージ通知が1000通を超えていることも。「お風呂入るよ」「今から寝る」などたわいないやりとりばかりだが、ふと心配になる。「スマホのいじめやトラブル、わが子は大丈夫?」-。

親との連絡7割
 十勝毎日新聞社が5~6月に十勝管内の中学生の保護者に行ったアンケート(回答数117人)では、中3までに63・2%がスマホを所持していた。内閣府の「2020年度青少年のインターネット利用環境実態調査」による全国の中学生のスマホ所持率67%とほぼ同等だ。


 アンケートで子どもにスマホを持たせる理由は「保護者との連絡」が7割を占めた。核家族や共働き家庭が増える中、「コロナ禍で子どもの留守番が多く、連絡が取り合えて安心できた」と便利さを指摘する声がある。

 一方で、放課後の子どもたちの世界は今、スマホの中で展開されるようになっている。放課後、家庭でもラインやインスタグラムなどのSNSで友人と容易に連絡が取れる。乱立する「学級」「習い事」「部活」などのライングループはたとえ自分がやりとりに加わっていなくても、「気づいたらメッセージが数百件たまっている」(市内中学1年生)という状況は珍しくない。


放課後の世界
 市内のある中学3年の約40人のクラスでは、スマホを持っていないのは3人ほど。ただ、親のタブレットに自分のラインを登録するなど何らかの連絡手段は全員が持ち、翌日の持ち物もラインを通じて連絡し合う。グループラインなどを通じてクラスの議題や席替えについて意見交換することもあるが、それは担任教諭に止められたという。

 アンケートではスマホ利用の悪影響として、長時間利用を挙げる声が76・4%に上った。それに伴う視力低下や勉強面への支障が続き、保護者からは「ラインが来たらすぐに返信しないとと思って中毒化していないか…。手には必ずスマホがある」とわが子を心配する声も聞こえる。


 「放課後の遊びの中心もスマホ」。スマホを持っていない市内の中学3年の女子生徒は、ある日の放課後を振り返る。女子5、6人で友人宅で遊んでいたら、1人がインスタグラムのライブ配信を始めた。別の1人はティックトックの撮影、もう1人は誰かにラインの返信…と、気がついたら同じ空間にいても別行動に。「私はぼうっとしていた。せっかく集まったのに…」
(第2回は13日更新。全3回連載します)


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