十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

酒場をめぐる冒険(2)「受け継がれる居酒屋~串49、やきとり大学」

店主の大出佳崇さん。唎(きき)酒師に認定されているため日本酒の知識が深い。飲食店限定酒や、彗(シャア)や三井の寿などアニメ好きにはたまらない酒も

親から子へ、祖父母から孫へ。先代のレシピや思いを引き継ぎつつ、時代に合わせて進化を遂げる2店にお邪魔しました。

20年ぶり 串49
 「父が串49を開業したのが49歳の時。自身も49歳になった時、今だと思いました」と語るのは、店主の大出佳崇さん。1989(平成元)年〜2003(平成15)年まで父・顕治さんが営んだ串49を昨年20年ぶりに復活させた。

 かつて父と一緒に厨房に立っていたという大出さん。オムレツ、カボチャチーズ焼き、自家製イカ塩辛など長い間愛されてきたメニューはそのままに。コク深い焼き鳥のタレも味わいを受け継いでいる。「当時の常連客も足を運んで懐かしんでくれる」と目を細める大出さん。父が築いたものを守りながら、大出さんの挑戦は始まったばかりだ。

右から時計回りに〈若鶏から揚げ〉950円、タコ・紅ショウガ・ネギ入りの卵焼き〈タコ玉〉650円、〈デラックスポテサラ 半熟卵・ベーコン付き〉580円

ファミリーハウス串49と名が刻まれた電話機。ティッシュケースやイス、小上がり席のテーブルも先代から使い続けている


帯広市西21条南5丁目17-6 
Tel:0155・66・9492
営:17時~23時(金・土・日曜は~24時) 
休:火曜



左から店主の武田紗弥さん、天満建太朗さん。2人ともに飲食店での経験があり、いとこ同士で店を切り盛りする。店のトレードマーク「ひげの学長」も昔のまま


21年ぶり やきとり大学
 帯広っ子に親しまれながら2002(平成14)年に長い歴史に幕を閉じたやきり大学。先代の孫にあたる武田紗弥さんと天満建太朗さんが2023年に祖父母の意志を引き継ぎ、再オープンした。

 先代から受け継いだという焼き鳥のタレは、1948(昭和23)年、藤丸の食堂のコックに習って、屋台で出したのが始まり。甘すぎずくどくない絶妙なバランスがどの部位にもよく合う。炭火を使ってタレをつけた後、再び焼くことで香ばしさをプラスした焼き鳥は、今も昔も多くのファンをとりこにする。その他、先代の頃から人気の〈なっとう炒飯〉や、日替わりのおばんざいも新しく登場する。

手前から〈おまかせ5本盛〉900円、〈なっとう炒飯〉800円。シンプルな味付けだが、納豆の香ばしさが食欲をそそる

西3条南10丁目で営んでいた頃の店構え


帯広市東1条南12丁目8 
Tel:0155・65・0878
営:16時~22時 
休:日曜

※フリーマガジン「Chai」2024年6月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。