2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

【シニア】音を紡ぐ左手(10)「ついにステージ復帰」

 左手で弾くと決めはしたが、反対する人はいないとはいえ賛成してくれる人もなかった。左手だけで演奏活動をしている人は知る限りいなかったし、右手が使えなくなれば演奏家としてはもう終わりというのが常識だった。

 でも誰がなんと言おうと構わない。大事なのは自分が生きていると実感を持つこと。植物が光を求めて上へと伸びていくように、音楽を求めて心は躍動する。それに左手だけで音楽ができないなんて誰が決めた