十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

部活動に夢中!(1)「Chaiランナーが行く~帯広農業高等学校馬術部」

シリウスグラン(14)

帯広農業高等学校馬術部
馬と人の心が通じ合う姿はまさに「人馬一体」

 馬術部と聞くと珍しいと思う人も多いのでは。それもそのはず。北海道ではわずか6校、実際に学校の敷地内で馬を飼育するのは、帯広農業高等学校と静内農業高等学校の2校のみだ。その中でも同校馬術部の歴史は古く、戦後間もない1947年ごろに設立。3年生が引退した現在は、20人の部員と3頭の馬で活動する。3頭とも競走馬として活躍した経験があり、中には皐月賞など数々のタイトルを獲得したディープインパクトを父に持つ馬もいる。

 馬術部の活動は馬の世話や乗馬だけが目的ではない。競技場内に設置された障害物を、決められた順番に飛び越していく「障害馬術」、馬の演技の正確さや美しさを競う「馬場馬術」など大会で成績を残すため日々のトレーニングをこなす。練習中に落馬しけがをすることや、馬に蹴られることは日常茶飯事だが、それでも「馬が大好き」と部員たちは口をそろえる。

 大きな体に対して繊細な心を持つ馬と信頼関係を築くのはそう簡単ではない。副部長の森川玲さんは「馬は言葉が通じない。声のトーンを変えたり、優しく撫でたり日々のちょっとした気遣いが大切」と話す。部員のほとんどが休日も活動場所に集まるといい、馬への深い愛情と強い絆を感じる。

Let’s go!

放牧した馬を集牧する。ロープを見ると逃げる馬もいるため、捕まえるのに苦労することもしばしば。馬の左側に立ち、頭絡(とうらく)と呼ばれる馬具を取り付ける。蹴られることもあり、馬の後ろは絶対に歩かない

ブラッシングをする。使うブラシは「ゴムブラシ」「根ブラシ」「毛ブラシ」の3種類。それぞれ汚れを浮き立たせる、流す、毛並みを整えるという役割を果たす。馬が一番嫌がるお腹周りは、目を見て優しくなでるように。最後に裏掘(うらほり)を使い、蹄(ひづめ)に入った石や泥を取り除く

乗馬の際は、横から見た時に頭、肩、お尻、かかとが一直線になるよう意識をする。緊張や不安は馬に伝わるもの。リラックスを心掛ける

馬が食事や休憩をする場所、馬房(ばぼう)を掃除。ふんや尿で湿った寝わらは集めて堆肥に、きれいなわらは隅に寄せて再利用を。毎朝登校前に交代制で行う。清潔にすることで馬が快適に過ごせる空間に

一日頑張った馬を丁寧に手入れ。マッサージや筋肉の疲労回復効果も。最初は脚の先に水をかけて水温に慣れるように配慮をする。日によっては馬用のシャンプーでさっぱりさせる

「グランありがとう!」
「また来てね!!」

馬術部最高!お世話になりました♪


◆農高インフォメーション
2020年に創立100周年を迎えた。農業科学、酪農科学、食品科学、農業土木工学、森林科学の5学科があり、専門的なカリキュラムを求めて道内外から進学者が集まる。

◆活動スケジュール
活動時間は平日は15時30分~19時、休日は8時30分~12時。7時20分からエサやり、馬房の掃除などをこなし、放課後に騎乗練習、トレーニングを行う。水替え、状態確認など相棒の世話は年中無休。

<帯広農業高等学校>
帯広市稲田町西1線9
Tel:0155・48・3051


※フリーマガジン「Chai」2023年9月号より。
※撮影/スタジオ・イッセイ 高橋一生。写真の無断転用は禁じます。