勝毎電子版ジャーナル

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親しみのまなざしを外へと広げて 『株式会社家族』(リトルモア)

佐々木 ののか

文筆家

 家族というものは不思議だ。

 友人だったらとっくに見限っているようなことでも、なんとなく許してしまうことがある。それどころか、圧倒的な欠点に対してもちょっとした親しみを覚えてしまうことさえある。

 私自身も「家族は私のどんな短所もある程度は受け入れてくれるはずだ」という甘えが心のどこかにあり、家族の前ではのんべんだらりとしたり、横暴な性格を遺憾なく発揮したりと素に...