十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(3)様似町

8合目付近から眺める様似町の海岸線。眼下に見えるのが「馬の背」、遠く突き出しているのはエンルム岬だ。右手には日高山脈、背後にはアポイ岳の山頂が迫る

世界が認めるジオパーク 貴重な植生育むアポイ岳
 たぐいまれな自然や大地が評価されて、2015年に「ユネスコ世界ジオパーク」※に加盟した様似町。この“大地の公園”の顔が、「アポイ岳」だ。

 アポイ岳は810mの低標高だが、山を構成する「かんらん岩」や海からの風、霧の影響を受け、高山に匹敵する植物が自生している。ヒダカソウといった固有種の宝庫でもあり、豊かな自然や学びを求めて、毎年気軽に多くの登山客が訪れる。

 山頂へは、約3時間。山小屋がある5合目付近から、高山植物が姿を見せ始める。急な尾根を登って森林限界となる6~7合目あたりになると急に視界が開け、海岸線や様似の町を望む大パノラマ。多くの高山植物が観察できる「馬の背」と呼ばれる尾根からは、日高山脈の稜線も美しく、疲れが一気に吹き飛ぶ。一方、高山植物の盗掘や温暖化により、植生の変化が進んでいる。かれんな花々は、登山道からそっとめでよう。

※国際的に価値のある地質遺産を保護し、教育や地域振興に活用するユネスコの事業。日本では9地域、道内は洞爺湖有珠山とアポイ岳の2カ所が登録。2008年には「日本ジオパーク」にも認定されている。

アポイアズマギク

キタヨツバシオガマ

チシマフウロ

チシマキンレイカ

キンロバイ

ミヤマオダマキ


5月初めから10月頃までの長い期間、花を楽しめるのがアポイ岳の魅力。取材時の6月中旬は、20種類ほどの花を見ることができた

東側の北米プレートと西側のユーラシアプレートの激しい衝突で、地下深部のマントルが地表に現れた「かんらん岩」。アポイ岳はかんらん岩でできた世界でも珍しい山で、新鮮な岩は、世界中から注目を集めている。またこの岩が作る厳しい土壌も、固有の高山植物が多い理由のひとつ

ダケカンバの木々に囲まれた山頂。高山植物が生育する山の頂が樹林帯なのは、アポイ岳の七不思議のひとつ

山頂

様似町役場商工観光課 伊藤佑朔(ゆうさく)さん
「ルールを守りながら様似の自然や歴史を楽しんでください」



<アポイ岳>
アポイ岳ジオパークビジターセンター
(様似町平宇479-13)から
徒歩5分で登山口

ここもオススメ
親子岩

 「親子岩ふれ愛ビーチ」(西町、国道336号沿い)の目の前にある「親子岩」は夕日の絶景ポイントとしても人気
※親子岩ふれ愛ビーチキャンプ場は、コロナウイルス感染拡大防止のため、8/7~9、8/13~15は閉鎖


取材協力/様似町観光協会 様似町大通1丁目101-1 Tel:0146・36・2551、様似町役場商工観光課 様似町大通1-21 Tel:0146・36・2119

豆!情報
 「中村おやき店」(本町2-63)や、たこマンマのかまぼこが名物の「マルサン工藤商店」(西町65)は地元っ子に人気

※フリーマガジン「Chai」2021年8月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島

 「日勝半島」って知っていますか? 十勝南部と日高東部を指す新しい言葉で、日高山脈や海岸線が育む、豊かな自然が残ります。日高山脈を含むこのエリアの多くはちょうど、「日高山脈襟裳国定公園」の国立公園化に向けて、その生態系に注目が高まっている最中。日高を東へ、十勝を南へ―。改めてその自然の魅力を写真で切り取りました。

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(11)日高山脈襟裳国定公園

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(10)大樹町

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(9)広尾町

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(8)更別村

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(7)中札内村

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(6)帯広市