日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(1)日勝半島って、どんなところ?
<教えてくれた人>
日高東部・十勝南部広域連携推進協議会 事務局スタッフ
下川知沙子さん(帯広商工会議所)
日高山脈を挟んだ日高東部と十勝南部のエリアが「日勝半島」。現在、個性的で異なる自然や文化を育む2つの地域が連携し、観光振興に向けてチャレンジしている。半島の魅力や取り組みについて教えてもらった。
日高と十勝、9市町村のエリア
日勝半島は、十勝6市町村と日高3町からなる地域。もともと、とかち帯広空港の利用促進などを通じて交流があったが、さらに連携を深めて観光振興に結び付けようと2013年、各市町村の商工会議所や商工会らによる「日高東部・十勝南部広域連携推進協議」が設立された。14年には地域一体を「日勝半島」と名付けて、活動を本格化。地域の交通体系整備といった提案や調査も行いながら、自然や食の魅力を道内外、国外に発信している。
Challenge.1
ホームページ「日勝半島物語」
専用ホームページを作り、自然や動植物、食などさまざまな切り口の旅を提案。日勝半島を知るなら、まずはサイトをチェック!
Challenge.2
日勝半島弁当
2015年には、十勝の農畜産物や日高の水産品を使った弁当を開発した。食のイベント「とかちマルシェ」で販売すると、約10分で限定数の100個を完売。
Challenge.3
台湾へのプロモーション
台湾では日本・北海道が観光地として人気。その台湾をターゲットにしたPRを展開した。2017年夏、18年冬には台湾の人々を招いた旅を企画し、ニーズや課題を調査した。
<Interview>
日高東部・十勝南部広域連携推進協議会
会長 川田章博さん(帯広商工会議所会頭)
北海道らしい観光物語が凝縮
協議会の会長、川田章博さんに日勝半島への思いなどを聞いた。
-取り組む意義や課題について。
日勝半島は北海道全体で、最も知られていない地域だと思う。ある意味、北海道らしい観光の物語がすべてここに凝縮されている。日高山脈があり、日高側は海の幸、十勝側は農畜産物。サラブレッドとばんえい競馬のばん馬というテーマも可能性がある。この資源を両地域でどう生かすかが大切だ。反面、交通アクセスが非常に悪い。宿泊施設も少ない。ここを開発しないと知ってもらえる地域にならない。
-台湾にPRしたときの反応は。
自然への評価は高い。興味深かったのは、天馬街道の紅葉の葉が落ちた景色がすばらしいと言っていた。常緑の台湾にはない景色で、見方を変えるとおもしろい。冬も含め、季節のメニューを上手に取り入れることが大事。一方で、やはり指摘されたのが交通アクセスの悪さと宿泊施設のなさだった。
-日高山脈襟裳国定公園の国立公園化の動きもある。
国立公園化はチャンス。協議会ではスピード感を持ってさまざまな構想を立ち上げ、観光振興に向けて各方面にお願いをしていく。日勝半島以外の町村も、関係してくることがあるだろう。民間ベースで進め、行政のサポートをもらいながら今後、議論を進めたい。
国立公園化では、観光客が一気に来るようなものにしないという、「逆の発想」も必要だ。あえて、登山道を整備せず観光客をロープウェイで上に運ぶとか。その中で自然をしっかり楽しんでもらう。これまでの国立公園とは、観光や見せ方が変わってくると思う。
取材協力/日高東部・十勝南部広域連携推進協議会
(事務局:帯広商工会議所内 Tel:0155・67・7381)
※フリーマガジン「Chai」2021年8月号より。
※写真の無断転用は禁じます。
日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島
「日勝半島」って知っていますか? 十勝南部と日高東部を指す新しい言葉で、日高山脈や海岸線が育む、豊かな自然が残ります。日高山脈を含むこのエリアの多くはちょうど、「日高山脈襟裳国定公園」の国立公園化に向けて、その生態系に注目が高まっている最中。日高を東へ、十勝を南へ―。改めてその自然の魅力を写真で切り取りました。