十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年12月号

特集/新店でめぐる2024年

なんちゃってママになろう~おばちゃん助産師の子育てエール(23)

帯広市内の慶愛病院産後ケアセンター「クローバー」を利用するママと双子の赤ちゃん(筆者右)

 こんにちは。十勝の子育て応援団、おばちゃん助産師の中山です。「子育てを楽しんでほしい」おばちゃんの熱い思いから始まった連載ですが、今回で終了します。紙面では終わりますが、まだまだ応援は続けますよ。

 最終回のテーマは「『なんちゃってママ』になろう」です。

 子育て中は、思い通りにいかないことばかりで「何もできていない」と落ち込んだり「いい子に育てたい」と、自分のことは後回しで頑張り、いつの間にか楽しさとは無縁になっていることがあります。

 実はおばちゃんも、子どものために良いと聞くと、胎教でモーツァルトを聴いてみたり、知育玩具を「頭がよくなるかも」と期待だけで購入したりと、新米ママの王道をひた走りました。使命感だけで、絵本の読み聞かせにも挑戦したけど、毎日が眠気との戦いで全く読めず、挫折感とやる気の空回りでした。

 途中から「できないこともある」と気持ちを切り替えると楽しくなってきました。絵本が読めなかったら、寝る前のなんちゃって昔話でもいいんです。子どもは楽しそうに聞いてくれましたよ。

 多くのママは「子育てに完璧も正解もない」と頭では理解しています。しかし行動は「子どものためにできる事は全てやりたい」と完璧を目指して猛進してしまいます。でも猛進は疲れるし、長続きしません。

 最近は育児休業(育休)制度も充実して「育児に専念」とよく聞きます。良い制度ですが、「専念=完璧」と考えて苦しくなるママもいます。

 育児に専念とは、子どもの成長をのんびりと楽しむことなので、肩の力を抜いていきましょう。成長は早くてびっくりするけど、幸せをいっぱい感じることができます。

 「完璧なママではなく、『なんちゃってママ』でいいのです」。ママが自分らしく伸び伸びしていると、子どももスクスク育ちます。どんなときでも「まっ、いいか」と楽しく過ごす工夫をしながら、元気に子育てしていきましょう。

<なかやま・ゆかり>
 1961年富山県生まれ。84年から帯広厚生病院、公立芽室病院などで助産師として勤務。2018年に退職。現在は、十勝管内で講演会や子育て相談、お母さん教室、母乳相談、産前産後ケアなどを行う。62歳。

中山由香里さん