十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年12月号

特集/新店でめぐる2024年

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(10)大樹町

ホロカヤントー(写真中央)はアイヌ語で「(海波が)越え・入る・もの(沼)」という意味。0.62㎢で、生花苗沼にかけて200haの原生花園が広がる。写真右に点在する緑地のくぼみが、「十勝ホロカヤントー竪穴群」。約130カ所の住居跡が分布する

動植物の命をつなぐ貴重な沼や湿地帯
 大樹町の海沿いの自然は、〝十勝ばなれ〞している。山や畑の風景から一変、静かにたたずむ沼や原生花園を歩くと、まるで別世界に迷いこんだかのようだ。

 大樹町から豊頃町の沿岸部に広がる湿地帯は「十勝海岸湖沼群」と呼ばれ、2010年には環境省から、ラムサール条約の潜在候補地に選ばれたことも。大樹町は、2つの沼「ホロカヤントー」「生花苗沼(オイカマナイトー)」とその周辺を含み、国の天然記念物であるタンチョウやオジロワシが飛来する他、貴重な植物や動物が命をつないでいる。

 ホロカヤントーを訪れた6月はちょうど、黄色いエゾカンゾウが咲き乱れていた。隣には原生花園に溶け込むように、およそ1000年前の擦文(さつもん)文化期を中心とする、竪穴群の史跡。冷んやりとした海風を感じながら史跡を縫うように沼に向かうと、今なお変わらぬ景色に、神々しい気持ちでいっぱいになった。

取材時に見ごろだったエゾカンゾウ。ハマナスやハマエンドウなど、春から秋まで季節ごとの花が迎えてくれる

道中、タンチョウに出合うことができた

1961(昭和36)年に復元した竪穴式住居(右上)。炉の跡がなく、漁期のみに暮らした夏の家とされている。中も見られるので、史跡の散策と合わせて立ち寄りを

大樹町地域おこし協力隊 牛島寛尊(ひろたか)さん
「山や海、沼、湿地、牧草地といった多彩なフィールドと、そこに暮らす生き物が魅力です」



<ホロカヤントー>
大樹町晩成

ここもオススメ
生花苗沼

ホロカヤントーから北東約2.5㎞先にある沼。アサリほど大きなヤマトシジミが生息する。資源保護のため漁は7月の1回のみ。夏はカヌーやヨットなどのマリンスポーツを楽しむことができ、氷が張る冬も美しい


取材協力/大樹町企画商工課 大樹町東本通33 Tel:01558・6・2114

豆!情報
珍しい高濃度ヨード泉の「晩成温泉」は、バス&フェイスの両タオルの貸し出しが無料。海岸線めぐりのあとは手ぶらでどうぞ。

※フリーマガジン「Chai」2021年8月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島

 「日勝半島」って知っていますか? 十勝南部と日高東部を指す新しい言葉で、日高山脈や海岸線が育む、豊かな自然が残ります。日高山脈を含むこのエリアの多くはちょうど、「日高山脈襟裳国定公園」の国立公園化に向けて、その生態系に注目が高まっている最中。日高を東へ、十勝を南へ―。改めてその自然の魅力を写真で切り取りました。

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(11)日高山脈襟裳国定公園

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(10)大樹町

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(9)広尾町

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(8)更別村

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(7)中札内村

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(6)帯広市