2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

Chai法律相談(167)「相続人の中に認知症の人がいる場合は?」

【質問】 
 子のいない姉が亡くなりました。両親が他界しているため、妹である私と、姉の配偶者が相続人になるのですが、姉の配偶者は認知症で長らく施設に入居しており、相続について判断ができる状態ではないようです。姉は、遺言書を作成していませんでした。相続財産である不動産について、姉の配偶者と遺産分割協議書を作成したいのですがどうすればよいのでしょうか。

【回答】
成年後見制度の利用について検討が必要です。

 相続人の中に認知症などで相続について判断ができる状態にない人がいる場合は、遺産分割の協議自体を行うことができません。また遺産分割協議書は、相続人全員の実印での押印と印鑑証明書の添付が必要ですが、その取得自体も困難です。そのため、家庭裁判所に申立てを行い、その人の判断や手続の代理などを行う成年後見人を選任してもらう必要が生じます。4親等内の親族であれば申立て可能です。まず姉の配偶者の判断能力を、施設の担当者などからも確認し、申立ての必要があるか、誰が申立てを行うか、成年後見人などの候補者となる人がいるかなどの検討を進めていく必要があります。

 成年後見制度の利用についての申立ては、添付資料の収集に手間がかかり、選任まで時間を要します。遺言書があれば、遺産分割協議書を作成せずとも相続手続きを進められるため、認知症の人が相続人になる可能性がある場合は、生前に遺言書を作成しておくことをお勧めします。

今回の回答にご協力いただいたのは
[平井智子 弁護士]

事務所/倉本・平井法律事務所 帯広市東2条南7丁目2-3 
Tel:050・3786・1570


※質問・回答はChai編集部の責任でまとめています。

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※フリーマガジン「Chai」2022年11月号より。