十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年10月号

特集/そばのおいしい季節です

立ち会い出産を本音で話そう~おばちゃん助産師の子育てエール(20)

マッサージ法を習った参加者は「練習できて安心した」と話す(新得町の産前ケア)

 こんにちは。十勝の子育て応援団、おばちゃん助産師の中山です。

 「立ち会い出産」と聞くと、汗をかきながらママの腰をさするパパの姿が目に浮かびます。以前は「恥ずかしい」「血が苦手」と消極的な方が多かったのですが、最近は「一緒に頑張りたい」として、パパの立ち会い出産率は74%にも達しています(2018年、ベビーカレンダー社調べ)。

 病院でも誕生の瞬間を共に迎えることは、家族の絆や子育てにも好影響だと立ち会い出産を勧めています。

 「立ち会い=当たり前」の雰囲気の中、多くのパパの本音は「頑張るママを手助けしたいけど、何をしていいのか分からない。実は心配」など不安も大きいのです。

 ママの本音は「そばにいるからには助けてほしい、うまくマッサージしてほしい」などパパへの期待でいっぱいです。

 だからこそ何をどうしたらいいのか、パパにどうしてほしいのかを本音で話し合い、一緒に頑張ることが大切です。「言わなくても分かってほしい」は無理なので、マッサージの力加減なども詳しく伝えましょう。

 立ち会い出産後、パパの感想は「こんなに大変だと思わなかった」「ママはすごい」「育児も2人で頑張る」。一方、ママの感想は「そばにいてくれて安心できた」「2人だから頑張れた」などです。実際に95%のパパとママが「立ち会えてよかった」と答えており、大満足という結果です。

 立ち会い出産はお勧めですが、帝王切開になったり、里帰り出産などでかなわないこともあります。立ち会いの有無で、お産を評価する必要はありません。妊娠中をどう過ごすか、どんなお産をしたいのか、赤ちゃんをどんなふうに育てたいかなど、パパとママが本音で話し合う過程が大事なのです。

<なかやま・ゆかり>
 1961年富山県生まれ。84年から帯広厚生病院、公立芽室病院などで助産師として勤務。2018年に退職。現在は、十勝管内で講演会や子育て相談、お母さん教室、母乳相談、産前産後ケアなどを行う。62歳。

中山由香里さん