2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

いいものfromトカチ(46)「つぼみ工房の『鳥のブローチ』」

上から時計回りに〈反省アカショウビン〉4,000円、〈オオルリ〉3,500円、〈エゾセンニュウ〉3,500円、〈イソヒヨドリ(メス)〉4,000円、〈オジロワシ〉8,000円、額縁内〈キビタキ〉3,500円(額縁は、作品+1,000円)

 今にも飛び出しそうなリアルさの中に、愛嬌(あいきょう)たっぷりのラブバード。鳥の形に彫った木を、色づけした野鳥のことを指します。

 つぼみ工房の田中輝顕さんはこの道60年以上の大ベテラン。手掛ける作品は、手のひらに収まるほど小さいのに、細部まで精密に作り込まれています。実在の鳥を写実的にとらえたものから、オリジナルの作品まで、その数は1000点をゆうに超えるといいます。

 使う素材は固さと軟らかさのバランスが良いホオノキ。一つ一つ丁寧に糸のこや、彫刻刀で鳥の輪郭をとり、形に合わせて彫り出します。水彩絵の具を混ぜ合わせ、重ね塗りをすることでかれんな仕上がりに。

 鮮やかな野鳥を風景写真と組み合わせた額装作品もあり、写真も自ら撮影。撮影時には、ラブバードが最も見栄えよく表現できる場所を探し、徹底した計算で作品を作り上げます。

 軽やかに舞ったり、首をかしげてたたずんでいたり―。鳥たちの愛くるしい表情を眺めていると、私たちの表情も自然と緩みます。

<田中輝顕さん>
神奈川県生まれ。絵描きの父の影響で幼少期から物作りに興味を抱く。20歳の頃、作品がアメリカ人のバイヤーの目に留まり、アメリカの野鳥をモチーフとしたアクセサリー制作を開始。その後「日本野鳥の会」に依頼を受け、日本の野鳥も手掛けるように。1999年にモチーフとなる野鳥と素材を求め帯広へ移住。昨年から、より良質な素材をと広尾町で自らホオノキの栽培を開始。2年に1度北海道ホテルにて展示会を開催する。

北海道ホテル内のショップ「エブリシングノース」にて販売。詳しくは「ラブバードテルアキ」HPにて

いいものfromトカチ
Made in 十勝の良質な雑貨を紹介するChaiの連載です。

※フリーマガジン「Chai」2023年7月号より。
※撮影/辰巳勲。写真の無断転用は禁じます。