タグ南極大陸

スカルブスネス同行記(3)



 調査から戻った夕方、同行者の白水薫さんから「きざはし浜にアザラシの死がいがある」と話を聞き散歩に出かけた。岩盤と砂浜を交互に歩きながら30分ほどすると、アザラシが4体浜辺に打ち上げられていた。冬期間中に海氷がせり上がり置き去りにされたようだ。死がいはミイラ化していて、上に砂が被っている。歯と尾びれで辛うじてアザラシだと分かる。野外支援の水谷剛生隊員が教えてくれた「天使の羽」も帰りに見つけた。ユキドリがナンキョクオオトウゾクカモメに食べられた跡だ。

 南極の場合、生物の死がいをよく目にする。ほとんどの場合、分解されずにミイラ化してしまうのだ。しかし、なぜか見ても気持ち悪いとは思わない。「これが自然なのだ」と受け入れられてしまうのが南極だ。(おわり)


前の記事次の記事

トップへ戻る