タグ南極観測船

宮﨑副長に聞く

艦内の巡回点検を行う宮﨑副長

艦内の巡回点検を行う宮﨑副長


 55次隊から3回連続「しらせ」に乗艦している宮﨑好司副長に話を聞いた。

―今回の「しらせ」協力行動を振り返って
 今年はラッキーだった。冬に吹いた風により、厚い氷が押し流された。そのため55次、56次に比べて少ないラミング回数で進むことができた。例年定着氷の縁は氷が重なり合い、3~5メートル位の厚さになった乱氷帯もある。今回はそれもなかった。
 初めて乗った55次行動では往復のラミングが4563回で過去最多。56次行動はそれを塗り替える5402回だった。今回は計1852回に抑えることができた。観測隊から最新の衛星写真を得られ、さらに氷の状況が好転している場所を選び、できるだけ氷がない場所を選べた。
それは我々の努力ではなく、自然の状況の変化だ。地球の織り成す力によって決められているものだ。
 
―ラミング航行について
 ラミングは自分自身の心との闘い。1時間で7~8回のラミングをして50メートル、1日で約1キロしか進まない。見る光景が同じだと、くじけそうになる。特に初めての当直士官は、このような気持ちに必ずなるだろう。当直の6時間はラミングの号令をかけっぱなしでストレスやプレッシャーになる。指示を誤ればかじやプロペラが氷によって損傷しかねない。数日経って振り返っていると、船の航跡は確実に後ろに残っている。短気にならずコツコツやることで確実に進んでいけることを話している。

―「しらせ」での任務は
 船乗りならば10人中10人は希望する船だ。「しらせ」には自衛隊の同期の中で1人しか乗れないのが通常。既に1人「しらせ」に乗っていたので、機会がないと思ったが、3年連続で乗ることができた。今まで得た経験を自分で保ちつつ、周りの人に伝えていこうと思っている。副長の任務としては艦内の内務を任されている。艦内の整理整とんはもちろんのこと、乗員の体調に気を使っている。夜の巡検時に乗員の顔色を見て元気がない人はいないか見て回るのも大切な任務だと思っている。

―十勝の思い出は
 大鋸艦長と一緒に北海道の十勝港(広尾町)に寄港したことがある。その時は運用長だった。北海道の広大な大地が広がっていると思ったが、十勝港は断崖の港だった。滞在中に搾りたての牛乳を飲み、地元名産のししゃもなどの魚も食べたことが思い出に残っている。

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