十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

おばちゃん助産師の子育てエール(10)「胎教は親子の絆」

10週の胎児のエコー。つわりがあるこの時期は無理をせず、「つらいけど少し食べれたよ」など、おなかの赤ちゃんに自分の気持ちを伝えるだけでもOKと中山さん

 こんにちは。十勝の子育て応援団、おばちゃん助産師の中山です。

 妊娠すると、うれしさと同時に、親になる責任感から「胎教」に振り回される人もいるかもしれません。胎教とは「胎内教育」のことで、胎児の教育ではありません。しかし教育という言葉から、胎児の早期教育や知育を連想してしまいます。(おばちゃんの意見ですが、教育という言葉を変更してほしい。)

 胎教とは、特別なことではありません。のんびりとおなかをなでながら話しかけたり、音楽を聴いたりして、ママが穏やかな気持ちで妊婦生活を楽しんでください。胎教を通じて、親子の絆が育ちます。

 よく、胎教=モーツァルトと聞きますね。大事なことは、ママがリラックスすることなので、モーツァルトにこだわらず、好きな音楽を聴けば良いのです。

 先日、25週から3カ月間も切迫早産で入院していたママに会いました。絶望感で毎日泣きながら、おなかの赤ちゃんとたくさん話したそうです。1日が長くつらかったけど、おなかをなでて話していると、元気がでてきたと話していました。ママがリラックスできる環境ではなかったけど、この入院中の頑張りの全てが胎教だったと思います。元気に生まれてきてくれた赤ちゃんからは、ママと頑張った満足感が伝わってきました。

 胎教を始める時期も、決まりはありません。胎児の聴力は、5カ月頃には出来上がっているので、この頃にはたくさんお話をしてください。おなかの中で楽しく聞いています。時には、返事代わりにキックしてくれることもあるかもしれません。妊婦健診時のエコーでは、ママやパパの声を聞き、うれしそうに飛び跳ねるかわいい姿を見ることもできます。胎内にいる時から話しかけてもらうのが大好きなので、何を食べたいかな?と、おなかに手をあてて相談しながら買い物するのも立派な胎教です。

 赤ちゃんと会える日を楽しみに、ワクワクした気持ちで過ごしましょうね。

<なかやま・ゆかり>
 1961年富山県生まれ。84年から帯広厚生病院、公立芽室病院などで助産師として勤務。2018年に退職。現在はフリーの助産師として、講演会、新得町の産前・産後ケアなどを行う。61歳。

中山由香里さん