十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

おばちゃん助産師の子育てエール(6)「『赤ちゃんがえり』は大好きの合図」

弟の誕生を喜ぶ9歳のおねえちゃん。産後ケアでは上の子との関わりについて相談を受けることも(右が中山さん)

 こんにちは。十勝の子育て応援団、おばちゃん助産師の中山です。

 今回は「赤ちゃんがえり」のお悩みを応援します。

 赤ちゃんがえりは、2人目の妊娠や出産をきっかけに、上の子に起こります。急に甘えが強くなったり、夜泣きをしたり、赤ちゃんの頃に戻ったようになることをいいます。

 家族が増えることは、幸せな出来事です。上の子にとっても、うれしい事ですが、独り占めしていたパパとママの愛情が、赤ちゃんにとられてしまうのではないかと心配し、心が不安定になることで起きる行動なのです。

 「どうすればいいの?」ママは悩みますね。愛情を確認しているのだから、上の子としっかり向き合い、気分はタカラジェンヌで、「愛している」とちょっと大げさに見えるくらい、わかりやすく伝えればいいのです。

 寝る時にはギュッと抱きしめて「大好き」とささやき、ママを独り占めできる幸せな時間をつくるのも良いですよ。

 抱きしめられて愛情を感じると、オキシトシンという幸せホルモンがでて、子どもの心が安定します。とは言っても、上の子の急な変化には疲れるし、困惑します。「わがままな子にならないか?」「私の愛情が足りないから、赤ちゃんがえりするのか?」などいろいろ考えてしまいますね。 悩む必要は全くありません。とにかく体力勝負で、あの手この手と工夫して愛情を伝えましょう。ママのオリジナル愛情作戦でいいのです。

 赤ちゃんがえりは今だけです。そしてパパとママが大好きだというすてきな合図なのです。そう思うと、大変だけど頑張れますね。

 大切なことは、ママも気分転換したり、ひとりで頑張らず、周りの人に助けてもらいながら、毎日バタバタと楽しむことです。

 赤ちゃんがえりを卒業したわが子の成長も楽しみにして下さい。

<なかやま・ゆかり>
 1961年富山県生まれ。84年から帯広厚生病院、公立芽室病院などで助産師として勤務。2018年に退職。現在はフリーの助産師として、講演会、新得町の産前・産後ケアなどを行う。61歳。

中山由香里さん