タウシュベツ川橋梁の崩落進む 上士幌
【上士幌】糠平湖の水位変化により、姿を消したり現したりする旧国鉄士幌線タウシュベツ川橋梁(きょうりょう)の部分的な崩落が、今年になって急激に進んでいる。10月中には大部分が水に漬かるとみられ、冬を越すと新たな箇所が崩落する可能性も。今年は例年に比べて水位の上昇が遅く、観光客らが晩秋の姿を目に焼き付けている。
同橋梁は1937年に完成。全長130メートルで11のアーチが連なっている。55年に糠平ダムが完成、それまでの線路が沈むためルートが変更され、同橋梁も使用されなくなった。以来、毎年秋ごろまでに沈み、厳冬期になると水位の減少によって姿を現す。
同橋梁の見学ツアーを実施しているNPOひがし大雪自然ガイドセンター(町ぬかびら源泉郷)によると、経年劣化は進んでいたが、最初の大きな崩落は2003年9月。十勝沖地震の影響とみられる中央付近の橋脚上部の側壁が崩れ、17年4月にも別の橋脚の側壁が落ちた。
同様に今年4月下旬から5月初めにかけて、南北に走る橋梁の南側と中央付近の2カ所で新たに橋脚上部の側壁が崩れた。ほかにも亀裂が入っている箇所がある。
今年2カ所が崩落したことについて、同センター代表理事の河田充さんは「昨年は完全に水没したことも影響があるのでは。他の箇所も、いつ崩れてもおかしくはない状況」と話す。
同橋梁は毎年、春から水位が上がり始め、9月ごろまでに水中に姿を消すことが多いが、今年は春に水位が上昇した後、7月から下がりだし、10月中旬に入っても橋脚下までしか水が来ていない。ただ、河田さんによると、1日当たり30~40センチ程度水位が上昇していて、間もなく姿が見えなくなる見込みという。
同センターは11月15日まで見学ツアーを実施している。降雪など天候によって早期に終了する場合もある。(平田幸嗣)
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